第5夜 日本神話(古事記) その2
イザナギ、黄泉で妻を見てはいけないのに見た
死んだ妻を迎えに行った夫は、見るなと言われたのに見た。そこにいたのは、蛆がわき、雷の神がまとわりつく妻だった。日本神話の愛の再会は、ロマンチックより先にクソ怖い照明事故だ。
妻に会いたくて地下へ行く















見るなと言われたら見る















黄泉からの逃走がめちゃくちゃ物理















岩越しの離婚宣言で生死が始まる
















暗記用
これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ
口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。
黄泉の国(よみのくに)
死者の世界。「黄泉がえり」の黄泉。
ヨモツヘグイ(よもつへぐい)
あの世の食べ物を食べたら戻れないルール。ペルセポネのざくろと同じ。
見るなのタブー(みるなのたぶー)
見るなと言われたら必ず見る、世界共通の神話の型。
三貴子(みはしらのうずのみこ)
禊で生まれたアマテラス・ツクヨミ・スサノオの3きょうだい。
よくある質問
- Q. 黄泉の国とは何か?
- A. 古事記で死者が行く暗い世界だ。地獄の罰の場所というより、生者の世界へ戻りにくい死の国として描かれる。
- Q. ヨモツヘグイとは何か?
- A. 黄泉の国の食べ物を食べることだ。イザナミは黄泉の食べ物を食べたため、生者の世界へ戻りにくくなったと語る。
- Q. 見るなのタブーとは何か?
- A. 見るなと言われた対象を見てしまい、関係や世界が壊れる型だ。古事記では黄泉のイザナミやトヨタマビメの出産で出る。
- Q. 黄泉醜女とは何か?
- A. イザナギを追う黄泉の女たちだ。イザナギは髪飾りや櫛を投げて山ぶどうやたけのこに変え、追っ手を足止めする。
- Q. 禊で生まれた三貴子とは誰か?
- A. 左目から生まれたアマテラス、右目から生まれたツクヨミ、鼻から生まれたスサノオの三柱だ。
次に読む
夫婦喧嘩のスケールで国道を封鎖するな
- 刑法124条
- 刑法222条
- 軽犯罪法社会生活上の軽微な秩序違反行為を取り締まる法律。
元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。
入試に出た
この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。
- 大学入学共通テスト 倫理2023倫理(第2問 日本の思想)
出典: 古事記・記紀神話
第2問(日本思想)の問2で、天つ神、「祀るとともに祀られる神」、スサノヲの誓約など、記紀神話の神々に踏み込んだ正誤4択が出た(東進の設問別分析が「突っ込んだ内容で難」と評価)。スサノヲはこの黄泉の話の結末、イザナギの禊で生まれた三貴子の一人。
答えの要点:押さえる知識: スサノヲは黄泉から逃げ帰ったイザナギが禊をした時、鼻を洗って生まれた三貴子の一人(左目からアマテラス=太陽、右目からツクヨミ=月、鼻からスサノヲ=海・嵐)。のちに高天原で姉アマテラスに謀反を疑われた時、「誓約(うけい)」という、子を産んで結果で吉凶を判定する占いによって身の潔白を示した。あわせて、日本の神は祀られると同時に自らも上位の神を祀る「祀るとともに祀られる神」で、絶対的な創造神ではない、という日本の神観の特徴(和辻哲郎の指摘として教科書に載る)を知っていれば対応できる。
- センター試験・共通テスト 倫理(日本思想分野の定番テーマ)複数年度で頻出倫理(古代日本人の思想)
出典: 古事記(イザナギの禊)・古代日本の倫理観
古代日本人が罪・悪・穢れをどう捉え、どう取り除いたか(禊・祓)、理想とした心のあり方(清き明き心)は何か、という正誤問題。倫理の教科書・対策資料で「日本思想の最初に必ず学ぶ定番」として扱われる領域。
答えの要点:古代日本では罪や災いは心の内側の罪悪感ではなく、体に付着した「穢れ」と考えられ、水で洗い流す「禊」や、祝詞・供物で除去する「祓」で清められるとされた。禊の起源こそ、黄泉から戻ったイザナギが筑紫の日向の阿波岐原で黄泉の穢れを洗い流した場面。理想の心は、神に対して隠し事がなく私心のない「清き明き心(清明心)」。「穢れ=外から付くもの、水で落とせるもの」という感覚をつかんでいれば、この分野の正誤選択肢はほぼ切れる。
腕試し(オリジナル問題)
過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。
問1「ヨモツヘグイ」とは何か。ギリシャ神話の類似の話を1つ挙げて共通点を説明せよ。
問2黄泉から逃げ帰ったイザナギが行った「禊」から生まれた三貴子の名と、それぞれどこから生まれたかを答えよ。