第5夜 日本神話(古事記) その3

アマテラス、天岩戸から宴会芸で引っ張り出される

太陽の女神アマテラスが洞窟に引きこもると、世界は真っ暗になる。神々がやった対策は、会議と鏡と、アメノウズメの全力の脱ぎ踊りだった。日本神話の停電復旧、思ったより宴会の二次会だ。

スサノオの職場荒らしがひどい

マサ
マサ
黄泉から帰ったイザナギの禊で、アマテラス、ツクヨミ、スサノオが生まれた。今回はアマテラスの天岩戸や。まず原因はだいたいスサノオ。鼻から生まれた暴れん坊やな。
ヤマト
ヤマト
鼻生まれの信頼感がない。
マサ
マサ
スサノオは母に会いたいって泣きわめく。海を治めろと言われても泣く。山も海も泣き声で荒れる。
イザナギに怒られて、姉のアマテラスへ挨拶に行く。ここだけ聞くと兄弟の訪問やけど、相手は危険物持ち込みみたいな男や。
だいち
だいち
姉側も警戒するよね。
マサ
マサ
アマテラスは、国を奪いに来たんちゃうかと疑う。二人は誓いをして子を生む形で身の潔白を示す。でもそのあとスサノオが調子に乗る。ここからがひどい。
さやか
さやか
神話でひどいって言う時、本当にひどいから怖い。
マサ
マサ
田の畦を壊す。溝を埋める。新嘗の御殿にうんこを撒く。原典にある。うんこや。太陽神の職場にうんこ撒く弟、どんな家庭環境でもアウトやろ。
ヤマト
ヤマト
退職代行でも断る現場。
だいち
だいち
神さまってもっと上品だと思ってた。
マサ
マサ
さらに決定打。アマテラスの機屋、つまり機織りをする場所に、皮を剥いだ馬を投げ込む。驚いた機織りの女が死ぬ。
ここは笑い話で済まへん。スサノオはただのやんちゃじゃなくて、聖なる仕事場を壊し、人を死なせてる。
だいち
だいち
田んぼ、御殿、機屋って、生活と祭りの場所を順番に壊してる。
マサ
マサ
そこ大事や。スサノオは物だけやなく、共同体のリズムを壊してる。食べ物を作る田、神に関わる御殿、布を織る機屋。全部やられたら、太陽神でも心が折れる。
卓の空気が少し締まる。
さやか
さやか
うんこの時点で最悪だけど、馬の場面は暴力が一段深いね。
マサ
マサ
そう。古事記のスサノオは、かわいい暴れん坊じゃない。神々の秩序をぶっ壊すやつや。アマテラスがこのあと引きこもるのも、ただ拗ねたわけちゃう。職場も神聖さも安全も全部荒らされたんや。
ヤマト
ヤマト
そりゃ太陽もシャッター下ろすわ。
マサ
マサ
決めの一言。天岩戸の暗闇は、スサノオのうんこと馬が押した停電ボタンなんよ。

太陽が隠れて世界が止まる

マサ
マサ
アマテラスは天岩戸って洞窟に入って、岩の戸を閉める。太陽の女神が隠れるわけやから、世界が真っ暗になる。昼が消える。もう節電とかいうレベルちゃう。発電所そのものが家出した感じや。
だいち
だいち
太陽が引きこもるって、世界全体が巻き込まれるんだ。
マサ
マサ
そう。天も地も暗くなる。悪い神の声が満ちる。災いが起きる。アマテラス一人のメンタルが、世界のインフラに直結してる。太陽神ってそういうポジションやねん。
ヤマト
ヤマト
有給取ったら世界が終わる部署、ブラックすぎる。
さやか
さやか
でも原因が弟の暴力だから、休むなとは言いにくい。
マサ
マサ
ほんまそれ。アマテラスが悪いというより、周りがどう復帰してもらうかの話になる。神々が天の安河原に集まる。八百万の神、つまり大量の神々の会議や。世界初の緊急対策本部みたいなもんや。
だいち
だいち
神々の会議って、ちゃんとしてそう。
マサ
マサ
ちゃんとしてる部分もある。知恵の神オモイカネが作戦を考える。鏡を作る。勾玉を作る。祝詞を整える。鶏を鳴かせる。榊に飾りを付ける。段取りはめちゃくちゃ準備する。
ヤマト
ヤマト
意外とイベント運営だ。
マサ
マサ
神話の大事件って、現場で見ると設営なんよ。鏡担当、玉担当、音響担当、司会、出演者。足場組む時もそうやけど、派手に見える瞬間の前に、裏方の段取りがある。
ヤマト
ヤマト
太陽復活フェス、スタッフ多い。
マサ
マサ
しかも誰か一人の天才芸で終わらん。ウズメの踊りが目立つけど、鏡を作るやつ、玉を用意するやつ、縄を張るやつ、全員で一個の仕掛けを作ってる。
マサが串を一本まっすぐ置く。
さやか
さやか
太陽を戻すために、みんなで場を作るんだね。
マサ
マサ
ただな、作戦の核が普通じゃない。神々はアマテラスを説得しない。扉の前で楽しそうな空気を作る。暗闇の中で、外だけめちゃくちゃ盛り上げる。中の人に、何が起きてるのって思わせる作戦や。
だいち
だいち
説教より気になる空気で引っ張るんだ。
マサ
マサ
決めの一言。世界を救う会議が出した答えは、正論じゃなくて、扉の外を楽しそうにすることやった。暗い部屋の中へ説教を投げ込まず、外に笑いを積み上げたんや。

アメノウズメの踊りで神々が爆笑

マサ
マサ
ここで登場するのがアメノウズメ。芸人枠の女神や。伏せた桶の上に乗って、足を踏み鳴らして踊る。神が踊るだけなら美しい話やけど、古事記はそこで止まらん。
ヤマト
ヤマト
嫌な予感しかしない。
マサ
マサ
アメノウズメは胸を出す。さらに下も見えるくらいにする。神々は大爆笑。太陽が消えて世界が真っ暗な中、扉の前で女神が脱いで踊って、神々が笑い転げる。これが天岩戸の一番有名な突破口や。
だいち
だいち
本当にストリップじゃん。
さやか
さやか
生命力を見せる儀式でもあるけど、絵面は完全に宴会芸だね。
マサ
マサ
そう。ここは下ネタで笑うだけやなくて、暗闇に対して、体と笑いと熱で返してるんよ。死んだような世界に、うるさいくらい生きてる空気をぶつける。
胸も下も隠さない。神聖な場面やけど、かなり肉体的や。
ヤマト
ヤマト
太陽復旧フェス。
マサ
マサ
ほんでアマテラスは岩戸の中で思う。世界は暗いはずなのに、なんで外はこんなに笑ってるんや。私より尊い神でも来たんか。
これが作戦の狙いや。怒ってる人に謝罪文を読むんじゃなくて、外で楽しそうな音を立てる。気になって扉をちょっと開けるのを待つ。
だいち
だいち
心理戦だ。
マサ
マサ
ここで一回聞くで。アマテラスが少し顔を出したら、神々は次なにしたと思う?
ヤマト
ヤマト
全員で土下座。
だいち
だいち
スサノオを連れてきて謝らせる。
さやか
さやか
外の明るさを見せる。
マサがにやっと笑う。
マサ
マサ
鏡を見せる。あんたより尊い神がいるで、みたいに言うて、実はアマテラス自身を映す。本人に本人の光を見せるんや。これがうまい。自分の価値を、外から見せる。
ヤマト
ヤマト
神話の自己肯定感ワークショップwww
マサ
マサ
決めの一言。アメノウズメの踊りは、ただの下品な余興やなくて、暗闇に笑いと体温を戻す起爆剤やった。

鏡で釣って太陽を引っ張り出す

マサ
マサ
アマテラスが少し岩戸を開ける。そこで鏡を見る。映ってるのは自分。
でも本人は一瞬、外にすごい神がいるのかと思う。自分の光に釣られる。ここで力持ちの神アメノタヂカラオが、アマテラスをぐいっと引っ張り出す。
だいち
だいち
最後は物理なんだ。
マサ
マサ
そう。心理戦、舞台演出、鏡、最後は腕力。現場は総合格闘技や。さらにフトダマって神が注連縄を張って、もう中に戻れないようにする。世界に光が戻る。
ヤマト
ヤマト
太陽の再入室禁止テープ。
さやか
さやか
注連縄って、神聖な境界を作るものなんだよね。戻らせない境目にもなるのか。
マサ
マサ
そう。ここで鏡も大事や。天岩戸で作戦に使われた鏡は、のちに三種の神器の鏡につながる大事なアイテムとして語られる。
アマテラスの象徴やな。神話は小道具の扱いがうまい。オロチの尻尾から出る草薙剣もそうやけど、アイテムがあとまで残る。
だいち
だいち
鏡がただの道具じゃなく、太陽を外へ戻した証拠みたいになるんだ。
鏡、剣、勾玉の鏡か。
マサ
マサ
せや。太陽を取り戻す場面で鏡が働く。つまり鏡はただ映す道具やなくて、神の光を外に引っ張る道具でもある。
ほんで問題児スサノオはどうなるか。髭と手足の爪を切られて、いろんなものを取られて追放される。
ヤマト
ヤマト
やっと退場。うんこ撒いた代償としては妥当。
マサ
マサ
スサノオはここで終わりちゃう。追放された先の出雲で、ヤマタノオロチを倒す。暴れん坊が、別の場所では英雄になる。この落差がスサノオのおもろいとこや。
暖簾の向こうで笑い声が上がる。
さやか
さやか
同じ人物が加害者にも英雄にもなるの、神話らしい複雑さがある。
マサ
マサ
ほんまにそう。古事記は善人悪人で単純に分けへん。うんこ撒いたやつが、後でドラゴンを倒す。
現場でもおるやろ、朝は最悪やったのに夕方にめっちゃ仕事するやつ。いや、それでもうんこは撒いたらあかんけど。
ヤマト
ヤマト
そこは全員一致www
マサ
マサ
決めの一言。世界を救ったのは武力でも説教でもなく、鏡と笑いと宴会芸やった。太陽を動かしたのは、正しさよりも場の熱や。

暗記用

これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ

口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。

  1. アマテラスあまてらす

    太陽の女神で神々のトップ。伊勢神宮の祭神。

  2. 天岩戸あまのいわと

    太陽が引きこもった洞窟。世界初のブラックアウト事件。

  3. アメノウズメあめのうずめ

    脱いで踊って世界を救った女神。芸能の神様の元祖。

  4. 常闇とこやみ

    太陽が消えて世界が真っ暗になった状態。

よくある質問

Q. 天照大神とは誰か?
A. アマテラスは古事記に出る太陽の女神だ。イザナギの左目から生まれ、天の世界を治め、皇室の祖神とされる。
Q. 天岩戸とは何か?
A. アマテラスがスサノオの乱暴に怒り、閉じこもった岩の洞窟だ。太陽神が隠れたため、世界は真っ暗になる。
Q. アメノウズメは何をした?
A. 岩戸の前で胸や下が見えるほど激しく踊り、神々を大笑いさせた。その騒ぎにアマテラスが興味を持ち、顔を出す。
Q. 天岩戸で鏡はなぜ重要か?
A. 神々は鏡を使ってアマテラス自身の姿を見せた。自分より尊い神がいると思わせ、岩戸から引き出すための道具になった。
Q. スサノオはなぜ追放された?
A. 田を壊し、御殿にうんこを撒き、皮を剥いだ馬を機屋に投げ込んで人を死なせたため、罰として髭や爪を切られ追放された。

次に読む

もし現代でやったらコンプライアンス違反疑惑度★★★★

職場を全損させて世界ごと停電させた男

  • 刑法174条
  • 刑法205条人の身体を傷害し、その結果死亡させた行為に関する規定(傷害致死)。
  • 刑法234条
  • 刑法260条
  • 刑法261条他人の物を損壊し、または傷つける行為に関する規定(器物損壊)。
  • 動物愛護管理法動物の愛護と適正な管理について定める法律。
  • 軽犯罪法社会生活上の軽微な秩序違反行為を取り締まる法律。

元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。

入試に出た

この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。

  • センター試験・共通テスト(倫理) 定番出題事項複数年度で頻出倫理(江戸時代の国学)

    出典: 本居宣長『古事記伝』

    江戸時代の思想家の組み合わせ問題で、国学の大成者・本居宣長の業績と思想キーワードの対応が定番として問われる。『古事記』はここで倫理の試験範囲に直結する。

    答えの要点:本居宣長は約35年かけて『古事記』全編の注釈書『古事記伝』(44巻)を完成させた国学の大成者。キーワードは「もののあはれ」(『源氏物語玉の小櫛』)、「真心」、「漢意(からごころ)の批判」、「惟神(かんながら)の道」。「古事記伝=本居宣長」「賀茂真淵に学んだ」の対応を押さえれば選択肢が切れる。

腕試し(オリジナル問題)

過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。

問1アマテラスが天岩戸に隠れる直接のきっかけとなった、スサノオの行為を2つ以上挙げよ。

問2天岩戸からアマテラスを引き出した作戦を、順を追って説明せよ。