第1夜 ギリシャ神話 その1

世界の始まりはカオスから。親子で政権交代するギリシャ神話

ギリシャ神話の開幕、空と大地がいきなりセックスして、息子が父ちゃんのちんこを鎌で落とす。神聖な始まりの顔して、実態は家族の最低事件簿なんよ。

世界の始まり、足の踏み場がない

ユウマ
ユウマ
ギリシャ神話の始まり、まずカオス。カオスって、要は世界がまだぐちゃぐちゃの始まり。
空も地面も海も、まだきれいに分かれてない。足の踏み場ない部屋みたいな宇宙から、最初の大物たちが出てきて、そこから神々の家系が動き出すんよ。
で、そこでガイアが出る。ガイアは大地の女神。女神っていうか、地面そのものが母ちゃんとして立ち上がる感じ。地面が人格持って、はい私が母です、みたいに登場する。
あおい
あおい
地面が母ちゃんって何www ケーキ置く場所が本人なの?
ユウマ
ユウマ
そう、そのケーキ台が本人。で、ガイアがウラノスを産む。ウラノスは天空の神、つまり空そのもの。ここまで聞くと、壮大な自然の詩みたいな顔してるじゃん。
でも神話はすぐアクセル踏む。母ガイアと、ガイアが産んだ空ウラノスがセックスする。開幕五分でセックス。
だいすけ
だいすけ
地面と空のセックス、スケールでごまかしてるだけで普通に気まずいじゃん。
ユウマ
ユウマ
そこからティタン神族が生まれる。クロノスもその一人。さらに一つ目のキュクロプス、腕が百本あるヘカトンケイルも生まれる。
家族写真に、母は大地、父は空、兄弟に一つ目、腕百本。写真館の人、立ち位置で泣く。
全員、腕百本の家族写真を想像して箸が止まる。
ユウマ
ユウマ
で、ここから父ウラノスが終わってる。子どもを見て、かわいいな、じゃない。怖、しまっとこ、になる。赤ちゃん用品の棚じゃないんだから。

ウラノス、父親なのにしまい方が最悪

ユウマ
ユウマ
ウラノスが何するかっていうと、怖い子どもたちをガイアの体の奥、大地の中に押し込める。キュクロプスとかヘカトンケイルが怖いし気に食わないから、父親のくせに受け止めるんじゃなくて閉じ込める。
育児方針が押し入れ。
だいすけ
だいすけ
腕百本の子どもを見てビビるのは分かるけど、しまうなよwww
ユウマ
ユウマ
しかも、しまう場所が母ちゃんの体内。子どもも地獄だし、詰め込まれるガイアも地獄。ガイアからしたら体の中がずっと満員電車。しかも乗客が一つ目と腕百本。もう内臓が朝の駅。
あおい
あおい
母ちゃんの体内満員電車、言葉がひどすぎるw
ユウマ
ユウマ
これ、ヘシオドスっていう昔の詩人が歌った、神々の家系をまとめたかなり古い伝えでも出てくる流れなんだけど、ガイアはもう限界なんよ。自分の中に子どもを押し込まれて苦しい。で、母ちゃんが鎌を作る。
煮物じゃなくて鎌。怖すぎる台所。
ガイアは子どもたちに言う。誰か父ちゃん止めるやついる?って。でもみんなビビる。そりゃ相手は空そのものだからね。殴る場所がない。胸ぐらつかもうにも、空。どうしろって話じゃん。
ハル
ハル
相手が空なの、喧嘩の難度おかしいだろ。
ユウマ
ユウマ
そこで手を上げるのが末っ子クロノス。兄弟たちが目をそらす中で、俺やるわ、って出る。
ギリシャ神話の最初の大事件、話し合いじゃなくて母ちゃん仕切りの父親倒し。家族LINEなら即抜けるやつ。

クロノス、父ちゃんのちんこを落とす

ユウマ
ユウマ
事件当日の夜。ウラノスがまたガイアに覆いかぶさって、セックスしに来る。空が大地に覆いかぶさるって言い方だけならきれいだけど、現場は最悪の寝室ドッキリ。
そこにクロノスが鎌を持って待ち伏せしてる。息子がベッドの近くで刃物持ってる地獄。
で、こいつ次に何したと思う?普通なら脅すとか、追い払うとか、せめて家族会議じゃん。
あおい
あおい
縛る?いや空って縛れるの?
だいすけ
だいすけ
議題重すぎる家族会議かな。
ハル
ハル
もう嫌な予感しかしない。
ユウマが鎌を振る手つきだけ真似する。
ユウマ
ユウマ
クロノス、父ちゃんのちんこを切り落とす。王座を奪う方法がそれ。投票箱じゃなくて玉の近くに鎌。初回から神話の温度が高すぎる。
だいすけ
だいすけ
うそやろwwww 王権の象徴を物理で処理すなwwww
ユウマ
ユウマ
でも意味はめちゃくちゃ分かりやすいんよ。ウラノスは子を産ませる力と、子を閉じ込める支配を持ってた。そこを切るって、お前の世代はここで終わり、これ以上その力で増やすな、ってこと。
下品なのに、政治の合図としては超クリア。張り紙より伝わる。
しかも切り落とした性器を海に投げる。すると海に泡が立って、その泡からアフロディテが生まれる。愛と美の女神ね。
アフロディテって名前は、泡を意味するアフロスと結びつけて語られる。父ちゃんのちんこ事件の泡から、愛と美が出る。落差で風邪ひくわ。
あおい
あおい
美の始まりが事件現場すぎるwww
ユウマ
ユウマ
で、ウラノスは退場。クロノスがトップになる。悪い父を倒した息子、ここだけ見れば英雄っぽい。でもギリシャ神話は性格が悪い。父を倒した息子ほど、自分の子どもが怖くなる。

クロノス、赤ん坊を丸呑みする

ユウマ
ユウマ
王になったクロノスに予言が来る。お前も自分の子に倒されるぞ、って。これ、本人にだけは効きすぎる。
だって自分が父ちゃんを鎌でやってるからね。未来の息子が刃物を研いでる夢、毎晩見るだろ。自業自得の不眠。
あおい
あおい
自分の過去が一番怖いやつだ。
ユウマ
ユウマ
で、クロノスの対策が狂ってる。妻レアが子どもを産むたびに、赤ん坊を丸呑みする。ヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンを順番に飲む。育児じゃない。食道に入れてる。
だいすけ
だいすけ
父親としての引き出しが最悪すぎる。
ユウマ
ユウマ
ここで天丼なんよ。父ウラノスは子どもを大地に閉じ込めた。息子クロノスは子どもを腹に閉じ込める。閉じ込める家系。親の嫌なところを、場所だけ変えて受け継いでる。
レアも限界よ。産むたび夫が赤ちゃん飲む家、空気が悪いとかの話じゃない。そこでレアはガイアとウラノスに相談して、末っ子ゼウスを隠す。
ゼウスはクレタ島とかで離れて育つ、外で育つ末っ子の定番になる。で、レアは赤ん坊の代わりに、産着で包んだ石をクロノスに渡す。
ここで問題。クロノス、次に何したと思う?さすがに確認する?顔見る?重さおかしいなって思う?
あおい
あおい
石でしょ?抱いた瞬間に分かるでしょ。
だいすけ
だいすけ
疑い深い王なら包み開けるだろ。
ユウマが見えない石を赤ちゃんみたいに抱える。
ユウマ
ユウマ
クロノス、その石を赤ん坊だと思って飲む。ノーチェック一気飲み。王座の守りはガチガチなのに、口元だけ素通り。
ハル
ハル
飲む前に一回見ろよ、まじで。
ユウマ
ユウマ
こうして兄姉は腹の中、父は城でびびり散らし、ゼウスだけ外で育つ。クロノスは予言を避けたつもりが、自分を倒す主役を育てる時間を渡した。自分で自分の首をゆっくり絞めてる。

ゼウス、胃袋から家族を取り戻す

ユウマ
ユウマ
ゼウスが成長して最初にやる大仕事が、クロノスに兄姉を吐かせること。ヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンが戻ってくる。
普通の再会は玄関でただいまだけど、こっちは父ちゃんの胃袋からただいま。胃酸まみれの同窓会。
あおい
あおい
神々の帰還が汚すぎるwww
ユウマ
ユウマ
そこからティタノマキア。ティタノマキアって、クロノス側のティタン神族と、ゼウス側の新しい神々が戦う十年戦争のこと。名前だけ聞くと難しそうだけど、要は古い王様チーム対、新しい息子チーム。
これに勝つと、ゼウスたちオリュンポスの神々の時代が始まる。だからただの親子喧嘩じゃなくて、世界の支配者が入れ替わる戦いなんよ。
ゼウスがうまいのは、ただ突撃しないところ。前の世代が地下に閉じ込めてたキュクロプスとヘカトンケイルを解放して味方にする。
会社で言うと、前の社長が怖がって倉庫に追いやってた天才を、新社長が呼び戻して主力にする感じ。閉じ込める家系の負債を、ゼウスが逆に武器にする。
だいすけ
だいすけ
急に経営うまいやつ出てきたな。
ユウマ
ユウマ
キュクロプスの装備配布がまたえぐい。ゼウスには雷。ポセイドンには三叉槍。ハデスには姿を消す兜。
全部当たり装備。しかもヘカトンケイルは腕が百本だから、岩を投げる量がもう災害。人手不足って言葉が一番似合わない部隊。
ハル
ハル
腕百本、ここでちゃんと役に立つの腹立つな。
ユウマ
ユウマ
結果、ゼウス側が勝つ。クロノスたちティタンは倒されて、ゼウスが新しいトップになる。冷静に並べると、ウラノスが子を閉じ込め、クロノスが父のちんこを落とし、クロノスが子を飲み、ゼウスが父を倒す。
二代連続の親子乗っ取り。家系図じゃなくて事件簿。
だいすけが水を飲もうとして笑いでむせる。
だいすけ
だいすけ
家族欄に事件名書いた方が早いwwww
ユウマ
ユウマ
ギリシャ神話の創世って、ありがたい光の物語じゃなくて、権力、嫉妬、セックス、玉への恐怖、子どもへのビビりで回ってる巨大な家族喧嘩なんよ。だから何千年たっても強い。
人間、神になっても飲み会の最低エピソードから逃げられない。

暗記用

これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ

口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。

  1. 天地開闢てんちかいびゃく

    世界の始まりをかっこよく言う言葉。最初に置くと急に教養っぽい。

  2. ガイアがいあ

    大地そのものを女神にした存在。地球の名前としても残る。

  3. ウラノスうらのす

    天空の神。最初の父親ポジションなのに家庭運営が最悪。

  4. ティタノマキアてぃたのまきあ

    ティタン神族とゼウス側の大戦争。神々の政権交代の名前。

よくある質問

Q. ギリシャ神話のカオスって何?
A. 世界の最初のぐちゃぐちゃした始まり。空や地面がきれいに分かれる前の状態で、そこからガイアたちが出て神々の家系が動き出す。
Q. ガイアとウラノスはどういう関係?
A. ガイアは大地そのものの母、ウラノスは空そのものの神。ガイアがウラノスを生み、その二人がセックスしてティタン神族たちが生まれる。
Q. クロノスはなぜウラノスの性器を切ったの?
A. ウラノスが子どもたちを大地の中に閉じ込め、ガイアを苦しめたから。ガイアが鎌を作り、末っ子クロノスが父の子を作る力と支配を断った。
Q. クロノスはなぜ子どもを丸呑みしたの?
A. 自分の子に倒されるという予言を怖がったから。ヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンを飲み込んで、王座を守ろうとした。
Q. ティタノマキアって何?
A. クロノス側のティタン神族と、ゼウス側の新しい神々の十年戦争。ゼウスは閉じ込められていたキュクロプスとヘカトンケイルを味方にし、雷や三叉槍などの武具を得て勝った。

次に読む

もし現代でやったらコンプライアンス違反疑惑度★★★★★

親が子を食う時点で終わってる

  • 刑法77条国の統治機構の破壊などを目的として暴動を起こす行為に関する規定(内乱)。
  • 刑法199条人を殺した者に科される罪の規定(殺人)。
  • 刑法203条殺人など一定の罪について、未遂の段階でも処罰しうることを定める規定。
  • 刑法204条人の身体を傷害した者を処罰する規定(傷害)。
  • 刑法220条不法に人を捕らえ、または閉じ込める行為に関する規定(逮捕監禁)。
  • 民法734条一定の近親者の間での婚姻を禁止する規定。
  • 児童虐待防止法児童に対する虐待の防止や、被害を受けた児童の保護などを定める法律。

元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。

入試に出た

この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。

  • 大阪経済大学 一般選抜 世界史(B方式)世界史(古代ギリシアの文学・文化)

    出典: ヘシオドス『神統記』『労働と日々』、ホメロス、アリストファネス

    古代ギリシアの代表的な文学作品と、その作者を正しく結びつける問題。神々の誕生と系譜をうたった作品、農作業や勤労の心得を説いた教訓詩、英雄たちの戦いを語る長大な叙事詩などを並べ、それぞれ誰が書いたかを答えさせる形が出た。

    答えの要点:このティタン神話の元になった、神々の誕生と系譜をうたう『神統記』と、勤労を説く教訓詩『労働と日々』は、どちらもヘシオドスの作。『イリアス』『オデュッセイア』の叙事詩はホメロス、喜劇は前五世紀のアリストファネスと、時代も種類も違う作家として切り分ければ正答できる。カオス・ガイア・ウラノス・クロノスの系譜=ヘシオドス『神統記』と結びつけて覚えるのが核心。

  • 日本の大学入試 世界史(共通テスト・センター試験ほか)世界史(ギリシア文化)

    出典: ヘシオドス『神統記』『労働と日々』、ホメロス『イリアス』『オデュッセイア』

    ギリシア文化の基本知識として、叙事詩や教訓詩の作者と内容の組み合わせが正しいかを判定させる正誤問題。『労働と日々』を別人の作とすり替えたり、『神統記』の主題を英雄の戦いだと取り違えたりした選択肢を、誤りとして見抜けるかが問われる。

    答えの要点:正しい組み合わせは、ヘシオドス=『神統記』(神々の誕生と系譜)と『労働と日々』(農事と勤労の教訓詩)、ホメロス=『イリアス』(トロイア戦争)と『オデュッセイア』(英雄の帰還)。引っかけは作者の入れ替えと、作品の主題のすり替えの二種類。作者と主題をセットで覚えておけば、ずれている選択肢を誤りと判定できる。

  • 高校倫理・共通テスト 倫理(源流思想)倫理(西洋思想の源流)

    出典: ホメロスやヘシオドスの神話的世界観、タレスら自然哲学者

    世界の成り立ちを神々の物語で説明する見方から、理性によって万物の根源を探る自然哲学への移り変わりが問われる。ヘシオドスらの神話的世界観が、哲学が始まる前段階としてどう位置づけられるかを答えさせる。

    答えの要点:世界を神々の物語(ミュトス)で語るヘシオドスらの段階から、タレスをはじめとする自然哲学者が、万物の根源(アルケー)を神に頼らず理性(ロゴス)で説明しようとする段階へ移った、という流れを押さえれば正答できる。タレスは根源を水としたという具体例を添えると、神話から哲学への転換という核心が示せる。神話を捨てたのではなく、その問い方を理性に置き換えた点がポイント。

腕試し(オリジナル問題)

過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。

問1クロノスは「我が子に倒される」という予言を恐れ、生まれた子を次々に飲み込んだが、末子ゼウスだけは助かった。(1)ゼウスが飲まれずに済んだ仕掛けと、(2)成長したゼウスが兄や姉たちを取り戻した方法を、それぞれ簡潔に述べよ。

問2ティタノマキア(ティタン神族との戦い)でゼウス側が勝てた要因の一つに、前の世代が地下に閉じ込めていた者たちの解放がある。ゼウスがどんな存在を味方につけ、その結果ゼウス・ポセイドン・ハデスがそれぞれ何を得たかを説明せよ。

問3ギリシア神話で、愛と美の女神アフロディテはクロノスによるある事件の余波から生まれたとされる。その誕生の由来を述べ、名の語源とどう結びつくかを説明せよ。