第3夜 徒然草 その1
兼好法師って誰。世を捨てたのに人間観察がやめられない男
兼好法師って、出家して悟った顔の人だと思うじゃん。違うんよ。世を捨てたあとも、人間のクソダサい瞬間だけはめちゃくちゃ見てる。宮中で空気読みの世界を見て、髪を剃って仏の道に入って、それでも見栄、欲、酒で崩れる人、肩書きで大きく見せる人を逃がさない。七百年くらい前の人なのに、令和の飲み会にも刺さる。端で静かに飲んで、最後の一言だけ一番痛いやつ。
兼好法師とは誰なのか








吉田兼好と卜部兼好は同じ人なのか








徒然草の作者は何を書いたのか










世を捨てたのになぜ毒舌なのか











徒然草はいつ成立したのか









兼好法師の何が今も刺さるのか













暗記用
これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ
口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。
兼好法師(けんこうほうし)
宮仕えも出家もした、人間観察が鋭すぎる書き手。
卜部兼好(うらべのかねよし)
兼好法師の俗名として押さえたい名前。
隠者(いんじゃ)
世間から距離を置いて暮らす人。徒然草の視点を作る。
人間観察(にんげんかんさつ)
兼好の武器。八百年前なのに今の飲み会にも刺さる。
よくある質問
- Q. 兼好法師とは何者なの
- A. 宮中に仕えたあと出家した隠者で、徒然草を書いた人。世を捨てた顔で、人間の見栄や欲をずっと見ていた男。
- Q. 吉田兼好と卜部兼好は同じ人なの
- A. 一般には同じ人物を指すよ。出家前の名前は卜部兼好とされ、吉田兼好という呼び方は後の時代に広まった名として説明されることが多い。
- Q. 徒然草はどんな本なの
- A. 一つの長い物語ではなく、短い話や考えが二百四十数の章に分かれて並ぶ随筆。人生メモ帳みたいに読める古典。
- Q. 徒然草はいつ成立したの
- A. 成立時期は諸説あり。鎌倉時代の終わりから南北朝のころにかけて成立した、と説明されることが多い。
- Q. 徒然草はなぜ今も読まれるの
- A. 無常や美意識だけでなく、人間観察が古びないから。肩書きや見栄の形は変わっても、中身は今の飲み会にもそのまま刺さる。
次に読む
人間観察と毒舌だけ、罪はない
元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。
入試に出た
この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。
- 早稲田大学2017国語(古文)
出典: 徒然草
徒然草の一節を本文に、傍線部の古語の意味、助動詞などの文法、内容合致(本文の趣旨に合うか)が問われた。
答えの要点:古文の徒然草で点を取る鍵は三つ。(1)古語を現代の意味で取らないこと。つれづれは退屈で手持ちぶさた、あはれはしみじみとした趣、ありがたしはめったにない、のように現代と意味がずれる語を古典の語義で訳す。(2)助動詞を文脈で見分ける。べしは当然や適当、けりは過去や詠嘆、なりは断定か伝聞、というように一語で意味が変わる。(3)兼好が何を言いたいかをつかむ。人の見栄や欲をさめた目で見て、無常(すべては移ろう)の感覚で評する、という視点で本文の主張を取れば内容合致の正誤も外しにくい。
- 琉球大学2021国語(古文)
出典: 徒然草
徒然草の段を題材に、現代語訳や傍線部の解釈、本文全体の趣旨をつかむ力が問われた。
答えの要点:現代語訳や傍線部解釈で正解する鍵は、まず主語(誰の動作か、誰の心情か)を補うこと。古文は主語が省かれるので、敬語の高さで人物の上下を見分け、誰が誰に向けた言葉かを先に確定する。そのうえで兼好が何を良しとし何を良しとしないか(出すぎた見栄や知ったかぶりをさめた目で批評し、控えめさや物事の本質を良しとする傾向)をつかむと、傍線部の意図と本文の趣旨がそろう。訳すときは古語の語義に忠実にし、現代語の感覚で意訳しすぎないことも要点。
- 防衛大学校2024国語(古文)
出典: 徒然草
徒然草の文章を読ませ、語句の意味、文脈把握、筆者(兼好)の見方の読み取りが問われた。
答えの要点:語句は古典の語義で取り、文脈把握では省略された主語と接続(逆接のどやどもなど)を丁寧に追うのが基本。筆者の見方の読み取りでは、兼好が具体的な人のふるまい(酒で崩れる、肩書きを誇る、知らないことを知った顔でうなずく)を例に挙げ、そこから人間の愚かさや無常を引き出す書き方をする点を押さえる。だから設問では、筆者が何を批判し何を良しとしているかを一文でまとめられれば、見方の問いに答えられる。批判の対象は出過ぎた見栄や見せかけ、評価するのは控えめさや物事の本質、という軸で読む。
腕試し(オリジナル問題)
過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。
問1兼好法師は一般に「吉田兼好」とも呼ばれるが、出家前の俗名は何とされるか。家の性格(朝廷の儀礼や神事に関わる家)にも触れて答えよ。
問2徒然草は「三大随筆」の一つに数えられる。残り二つの作品名を挙げ、徒然草が随筆としてどんな構成を持つかを一文で説明せよ。
問3徒然草の一節「家の作りやうは夏をむねとすべし」は、住まいについてどのような考えを述べたものか。当時の生活も踏まえて説明せよ。