第3夜 徒然草 その6

花は盛りに、月は隈なきを。見頃だけが粋じゃない

満開だけ撮って帰る奴、兼好から見るとピークだけ回収して人生わかった顔してるクソ浅い奴なんよ。散った桜、雨で見えない月、会えない夜、そこまで飲める奴だけが最後に一番いい話を持ってる。

徒然草 花は盛りにとは?満開だけ回収する奴への兼好パンチ

コウキ
コウキ
花見で一番怖い奴って桜じゃなくて予定表を見に来てる奴なんよ。満開、晴れ、駅近、滞在十二分、写真三枚、はい撤収。
いやそれ花見じゃなくてタスク消化じゃんwww 桜をスタンプラリー扱いすな。
ヒロシ
ヒロシ
桜をチェックリストにすなw
コウキ
コウキ
いるじゃん。満開の日だけ調べて、現地でスマホ構えて、画面の中の桜だけ確認して帰る奴。目の前の木が本物なのに、本人はもう加工アプリで色を盛ってる。桜、本人確認されてないのよ。
ひなの
ひなの
桜の本人確認www でも満開は普通に見たいじゃん
コウキ
コウキ
見たいよ。満開は強い。花界の王様。
で、そこに来るのが兼好法師、吉田兼好ね。鎌倉時代の終わりごろ、十四世紀に徒然草を書いた人。説教くさい賢者ってより、飲み屋の隅で人間のダサさを全部見てる人間観察おじさん。
その兼好が、第137段、要は137個目の章ね、そこで初手から言うのが『花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは』。これ、満開の花と曇りない満月だけ見るもんなのか、いや違うだろ、って返し。
上品な顔して、ピークだけ回収する奴の肩をつかんでくる。
しずく
しずく
肩つかみ強いな
コウキ
コウキ
兼好は、桜がちょっと散ってる、雨で月が見えない、見たいのに見えない、そこまで味じゃんって言うんよ。満開だけ食って帰るな。
帰り道、靴裏に花びらがぺたっと貼りついてる、あれが妙に残るだろ。そこまで花見。
ヒロシ
ヒロシ
ピークだけ回収する奴、飲み会で刺身の一番うまいとこだけ取る奴やん
グラスが止まる。
コウキ
コウキ
見頃を逃して笑える奴の方が最後に一番いい話を持ってる。

月は隈なきをのみ見るものかは?見えない月で飲む変態美学

コウキ
コウキ
月も同じ。隈なきっていうのは、影も曇りもなくて、隅々まで明るいってこと。ここでは欠けも曇りもない満月ね。
あれは普通に優勝。全員が空見て、写真撮って、結果は米粒。肉眼ではボスキャラなのに、スマホだと白い点www
ひなの
ひなの
月の写真、まじで米粒w
コウキ
コウキ
普通なら雲ひとつない満月が優勝じゃん。ところが兼好は、雨に向かって見えない月を恋しがるのもいいって言う。月、ゼロ。空、真っ黒。
投稿する物、なし。それでも、あの雲の裏に月いるんだよなって思って飲む。現物ゼロで優勝すなw
ヒロシ
ヒロシ
現物ゼロで月見するの、だいぶ攻めてるな
コウキ
コウキ
でもここがうまいんよ。今って、見えた、撮れた、残せた、共有できた、はい勝ち、になりがちじゃん。兼好は、写らないものを捨てたら損するぞって言う。
待ってる時間、見えなくてむずむずする時間、家に帰ってから思い出す時間。そこまで月の味に入れてくる。
で、こいつ次に何したと思う? 満月を見に来たのに雨だよ。普通なら、うわ最悪、帰ろ、じゃん。
ひなの
ひなの
屋根ある店に逃げる?
ヒロシ
ヒロシ
天気アプリに低評価つける?
しずく
しずく
空にクレーム入れるタイプかと思った
コウキ
コウキ
違うんよ。見えない月を思って味わう。これが怖い。素材が来てないのにもう飲み始めてる。焼きたてだけじゃなくて、冷めて出る甘さまで拾う人。見えない月で飲む、これが兼好の変態美学。
雨音が強くなる。
コウキ
コウキ
月が見えない夜に月で酔える奴、人生のコスパが異常。

散り際がうまい理由 余情と無常を飲み屋のつまみにする

コウキ
コウキ
ここで余情と無常ね。急に難しそうだけど、飲み屋の言葉にすると簡単。余情は、帰った後も残る味わい。
楽しかった飲み会の帰り道に、さっきの一言を思い出して一人で笑う、あれ。無常は、同じ状態がずっと続かないってこと。花は散るし、月は欠けるし、店の限定メニューは次に来たらもうない。
ヒロシ
ヒロシ
限定メニューで急に腹に落ちたわw
コウキ
コウキ
完璧が固定されると、人間ってすぐ雑に扱うんよ。コンビニで毎晩、満月入ったぞって売ってたら三日で誰も空を見ない。しかも二個買うと一個半額なら、もう月じゃなくて惣菜。
ひなの
ひなの
半額満月、ロマン死ぬwww
コウキ
コウキ
足りないから追う。欠けるから待つ。散るから、うわ今見とかなきゃってなる。桜も月も、ずっと百点で置いてあったら人は見ない。
ちょっと逃げるから心が走る。恋も仕事もラーメンの替え玉もそう。なくなりそうな時だけ急に本気出す。
しずく
しずく
替え玉まで同じ箱に入れるの強引すぎるw
コウキ
コウキ
でも同じなんよ。兼好の核は、盛りの一点だけじゃなくて、咲く前のつぼみ、散った後の庭、雨で見えない月まで味わうこと。点で取らない。
前後ぜんぶ見る。ピークだけ回収する奴は、映画のラストだけ見て泣けるか判定してるようなもん。
ヒロシ
ヒロシ
雑すぎるw 途中の顔全部捨ててるやん
コウキ
コウキ
そう。満開の写真より、帰り道の靴裏に花びらがぺたっと貼りついてる方が妙に残ることあるじゃん。あの小さい残り方まで拾う。
花が消えた後に心に残る味、そこが余情。消えるから動く、そこが無常。難しい言葉だけど、要は帰り道までうまいって話。
皿の端に、わさびが少し残ってる。
コウキ
コウキ
散り際を笑って拾える奴は満開しか知らない奴よりだいぶ強い。

恋も見頃だけじゃない 会えない夜まで酒のつまみ

コウキ
コウキ
しかも兼好、花と月だけで終わらない。急に男女の情けへ降りる。上品な庭を歩いてたのに、いきなり人間の布団の横まで来る。足音しないのが怖い。
ひなの
ひなの
徒然草ってそんなとこまで来るの?
コウキ
コウキ
来る。しかも刺さる。恋って、会ってイチャついてセックスする、はい成立、だけじゃないだろって話をする。逢えずに終わった思い、ふわっとした約束を恨む気持ち、長い夜を一人で明かすこと、昔を思い出す心。
兼好はそこまで恋に入れる。成功シーンだけじゃない。失敗した時間まで恋の皿に乗せる。
ヒロシ
ヒロシ
生々しいな。既読つかん夜のやつやん
コウキ
コウキ
そう。スマホを裏返す。三秒後に表。通知ゼロ。また伏せる。また見る。
何を確認してんだよってくらい見る。はたから見たら宅配追跡の更新連打www でも本人は必死。玉の奥まで不安が来てる。情けない。けどそこが恋の本体だったりする。
しずく
しずく
言い方ひどいのに分かるの腹立つ
コウキ
コウキ
ここで大事なのは、会えない方が偉いって話じゃないこと。会いたいに決まってる。満開も見たい。
満月も見たい。好きな人には会いたいし、ちんこだって元気なら出番を待つ。そこを我慢する大会じゃない。
ひなの
ひなの
ちんこの待機列やめてwww
コウキ
コウキ
でも、見えなかった、会えなかった、終わっちゃったを全部ハズレ箱に捨てるのは味覚が雑。うまくいった瞬間だけ保存して、ぐちゃぐちゃに焦った夜を削除するなってこと。
何年か後に、通知来ないのに風呂までスマホ持ってったんだよって言った瞬間、テーブル全員が笑うじゃん。あの未練、後で酒のつまみになる。
ヒロシ
ヒロシ
風呂スマホはだいぶ負けてるw
誰かがスマホを裏返す。
コウキ
コウキ
うまくいかなかった時間まで後で笑って飲める。兼好はそこまで知ってるから怖い。

飲み会で使う 花は盛りに 月は隈なきをの最強まとめ

コウキ
コウキ
飲み会でこの話を使うなら、こう言えばいい。徒然草にさ、満開と満月だけ見て美しいとか言う奴、まだ味覚が子どもって話があるんだよ。
これで一回つかめる。古典を急に説くんじゃなくて、ピークだけ回収する奴へのツッコミとして出す。
ヒロシ
ヒロシ
古典で煽るなw でも聞くわ
コウキ
コウキ
続けて、兼好って昔の人が、花は満開だけ、月は曇りない満月だけ見るもんなのか、いや違うだろって言うんよ、って話す。散る花、雨で見えない月、待ってる時間、帰ってから思い出す気持ち。
完璧な状態だけを美にしない。見えない時に心が動くところまで美にした。
ひなの
ひなの
言い方ちゃんとすれば普通にかっこいい
コウキ
コウキ
で、兼好は何を拾ったと思う? みんなが満開最高、満月最高って言ってる横で、何をつまみにしたと思う?
ヒロシ
ヒロシ
花びらのゴミ拾い?
ひなの
ひなの
雲にクレーム?
しずく
しずく
雨の日のテンション管理?
コウキ
コウキ
正解は、見えない月までつまみにした。ここで全部つながる。素材が来ない時間まで料理する。
桜が散った後、月が隠れた夜、恋が空振った帰り道。そこを、はい失敗、で捨てない。そこを笑える奴が強い。
しずく
しずく
見えない月で飲む、だいぶ耳に残るな
コウキ
コウキ
ピークだけ回収する奴は、人生をスクショのフォルダだと思ってる。でも本当に話になるのは、満開を逃した日とか、雨で月が見えなかった夜とか、うまくいかなくて帰り道に黙った時間なんよ。
そこに後から味が出る。
全員、自分の皿の端を見る。
コウキ
コウキ
見頃を逃しても笑って一杯いける奴が一番粋。
ヒロシ
ヒロシ
散った桜で飲めるやん。公園の地面がもう居酒屋や
ひなの
ひなの
見えない月で乾杯できるの、なんか急に強いwww
しずく
しずく
ピークだけ回収する奴、今日からちょっと浅く見えるw
コウキ
コウキ
月が見えない夜に月の話で飲める。それが兼好の一番うまい乾杯。

暗記用

これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ

口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。

  1. 花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかははなはさかりに、つきはくまなきをのみみるものかは

    満開と満月だけが美しいわけじゃない、という美意識の決め台詞。

  2. もののあはれもののあはれ

    過ぎるから美しい、足りないから心が動くという感覚。

  3. 隈なき月くまなきつき

    欠けも曇りもない月。完璧だけが味ではないと語る入口。

  4. 余情よじょう

    見えない部分や終わった後に残る味わい。

よくある質問

Q. 徒然草 花は盛りに ってどういう意味?
A. 花は満開だけ、月は曇りのない満月だけが美しいんじゃなくて、散り際や見えない月を思う心にも味があるってこと。ピークだけ回収するな、前後まで飲め、って感じ。
Q. 花は盛りに 月は隈なきをのみ見るものかは の現代語訳は?
A. 花は満開の時だけ、月は欠けも曇りもない時だけを見るものなのか、いや違うだろ、という意味。完璧な瞬間だけを美にしない言い方だよ。
Q. 徒然草のこの話の美意識は何?
A. 咲く前、散った後、待っている時間、過ぎた後に思い出す気持ちまで味わうこと。足りないから追うし、消えるから心に残る、という見方だよ。
Q. 月は隈なき の隈なきって何?
A. 隈なきは、影や曇りがなくて、隅々まで明るいって意味。ここでは欠けや曇りのない満月みたいな状態を指してる。

次に読む

もし現代でやったらコンプライアンス違反疑惑度★★★★

散り際を愛でる美意識、文句なし

元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。

入試に出た

この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。

  • 高校古典の定番教材・大学入試古文で頻出の段国語(古文)

    出典: 徒然草 第137段「花は盛りに」

    冒頭『花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは』の現代語訳と、この反語表現で兼好が否定している考え方・主張している美意識を説明させる問題が定番。『のみ』『かは』の文法的な働きを問う形も多い。

    答えの要点:現代語訳は『花は満開の時だけを、月は曇りのない満月だけを見るものだろうか、いやそうではない』。『のみ』は限定(だけ)、『かは』は反語で、満開や満月という最盛期だけを美とする見方を否定している。主張は、咲く前のつぼみや散った後の庭、雨で見えない月を思う心など、盛りの前後や見えない時間にこそ深い趣があるという美意識。最盛期という一点ではなく、移ろいの過程まで味わう態度を良しとしている点を書けば正解になる。

  • 高校古典の定番教材・大学入試古文で頻出の段国語(古文)

    出典: 徒然草 第137段「花は盛りに」

    『あはれに情け深し』『見所多けれ』などの語を手がかりに、兼好が趣深い・味わいがあると感じている具体的な対象は何かを、本文に即して指摘・説明させる問題。後半で恋の情趣に話が及ぶ理由を問う設問も出る。

    答えの要点:兼好が趣を感じている対象は、雨に向かって見えない月を恋しく思う心、家にこもって春の過ぎゆくのを知らずにいること、咲きそうなつぼみの梢、花が散ってしおれた庭など、盛りを外した状態や見えない時間である。後半で恋に及ぶのは、逢えずに終わった思いや、果たせなかった約束を恨み、一人で長い夜を明かして昔を思う心にこそ情趣があると説くため。完璧な成就や絶頂だけでなく、満たされない時間まで味わうという段全体の主張と一貫している点を押さえれば正解。

腕試し(オリジナル問題)

過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。

問1「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」という冒頭の一文で、兼好法師はどのような美意識を否定し、どのような美意識を主張しているか。本文全体の趣旨をふまえ、自分の言葉で説明せよ。

問2この段の鍵となる「余情」と「無常」を、それぞれ一文で平易に説明し、両者がこの段の主張とどう結びつくかを述べよ。

問3兼好法師は、最盛期だけを切り取って愛でる態度を未熟とみなした。この見方は現代の私たちの生活にどのように当てはまるか。具体例を一つ挙げ、あなたの考えを百五十字程度で書け。