第5夜 日本神話(古事記) その6

ニニギ、天孫降臨で地上へ来たのに面食いで寿命を縮める

天から地上へ降りたニニギは、三種の神器を持つ超重要人物だ。なのに地上で最初にやらかすのが、姉妹のうち美人だけ選んで姉を返品すること。顔で選んだちんこ判断のせいで、人間の寿命は花みたいに短くなる。神話の面食い事故、被害範囲がデカすぎる。

地上を譲れと言いに行く

マサ
マサ
前回のオオクニヌシが出雲で国づくりをした。ところが天の側、つまりアマテラスたちは言う。地上は私の子孫が治めるべきや、と。
ここから国譲りや。作った人と、治めたい人が別に出てくる。急に政治の話になる。
だいち
だいち
神話だけど権力移行なんだ。
マサ
マサ
そう。最初に使者を送る。でも使者が地上に居着いたり、オオクニヌシ側に寄ったりして、なかなか進まへん。出張に行った社員が現地の空気に染まって帰ってこないみたいな話や。
ヤマト
ヤマト
出雲、居心地よかったんだ。
マサ
マサ
最後に来るのがタケミカヅチ。武闘派の神や。剣の上にあぐらをかくような圧の出し方をする。もう名刺交換の姿勢ちゃう。
ヤマト
ヤマト
交渉席に座る前から床が怖い。
さやか
さやか
交渉の入口から怖い。
マサ
マサ
オオクニヌシは、自分の子に聞いてくれと言う。息子のコトシロヌシは譲ると答える。でももう一人のタケミナカタは納得しない。
力比べになる。タケミカヅチが手を氷や剣みたいに変えて、タケミナカタを投げる。相撲の起源とも言われる場面や。
だいち
だいち
国の交渉が腕相撲みたいになるんだ。
マサ
マサ
力で押されて、タケミナカタは諏訪のほうへ逃げる。そしてもう逆らわないと言う。オオクニヌシは最終的に国を譲る。
ただし条件がある。自分のために天に届くような立派な宮を建ててくれ、と。出雲大社の起源につながる話や。
ヤマト
ヤマト
退任条件が巨大社宅。
マサ
マサ
社宅言うなwww でも、完全敗北ではない。地上の政治は譲るが、自分の祀られる場所をでかく残す。オオクニヌシは消えへん。場所として残る。
マサが手のひらで卓に小さな四角を作る。
さやか
さやか
統治と信仰を分ける感じがあるね。
マサ
マサ
そう。ここが国譲りの深いところや。支配権だけの話やなく、負けた側をどう祀るか、どう居場所を残すかが入ってる。
だいち
だいち
神話なのに、かなり現実的。
マサ
マサ
決めの一言。国譲りは、地上を奪う話やなく、出雲を消さずに天の筋へつなぐ話なんよ。

三種の神器を持って降りる

マサ
マサ
国譲りが済むと、アマテラスの孫ニニギが地上へ降りる。これが天孫降臨。孫が降りるから天孫や。場所は高千穂の峰とされる。天の世界から地上への正式赴任やな。
ヤマト
ヤマト
辞令、天から地上へ。
マサ
マサ
このときニニギが持ってくるのが三種の神器。鏡、剣、勾玉。鏡は天岩戸でアマテラスを引き出す作戦とつながる。
剣はスサノオがヤマタノオロチの尻尾から見つけた草薙剣。勾玉は玉の力を象徴する。
だいち
だいち
天岩戸とオロチのアイテムがここで合流するんだ。
マサ
マサ
そう。ここでシリーズのアイテム回収が起きる。宴会芸で太陽を戻した鏡、飲酒事故の大蛇から出た剣、それが天孫降臨の持ち物になる。神話の小道具、履歴が濃すぎる。
だいち
だいち
鏡も剣も、ただ偉いから持つんじゃなく、前の事件を背負ってるんだ。
マサ
マサ
せや。神器は新品の記念品ちゃう。世界が暗くなった時の鏡と、オロチの体から出た剣や。
持つだけで過去の修羅場がついてくる。だからニニギが地上へ降りる時、手荷物の重さは物理より物語のほうが重い。
さやか
さやか
物に前の物語が乗っているから、ただの宝物じゃないね。
マサ
マサ
しかもこの三種の神器、今も皇位継承で語られる現役アイテムや。鏡は伊勢神宮、剣は熱田神宮、勾玉は皇居にあるとされる。神話の道具が、博物館の古物じゃなく、儀式の中心に残ってる。
ヤマト
ヤマト
草薙剣、オロチの尻尾から熱田まで旅しすぎ。
マサ
マサ
ほんまや。オロチの尻尾、スサノオ、アマテラス、ニニギ、そして後のヤマトタケル。草薙剣はただの剣やなく、物語を運ぶ電車みたいなもんや。乗り換え多いけど終点が今に近い。
だいち
だいち
神話って昔で止まってないんだね。
マサ
マサ
止まってへん。だから天孫降臨は、昔話の登場人物が山に降りた、だけじゃない。天の正統性を持った家系が地上へ来る話で、その証拠として神器を持ってくる。現代の身分証より強い。
グラスの泡が静かに消える。
さやか
さやか
鏡、剣、勾玉が、血筋と統治の証になるんだ。
マサ
マサ
決めの一言。天孫降臨は、天から人が降りた話やなく、神話の伏線が三つの道具になって地上へ降りた話や。

美人だけ選んで寿命を失う

マサ
マサ
地上へ降りたニニギは、コノハナサクヤヒメに出会う。名前の通り、花が咲くみたいに美しい女神や。ニニギは一目惚れして、父のオオヤマツミに結婚を申し込む。
ヤマト
ヤマト
天孫、赴任してすぐ恋愛。
マサ
マサ
父は喜んで、コノハナサクヤヒメだけやなく、姉のイワナガヒメも一緒に差し出す。妹は花のような繁栄、姉は岩のような永遠の命を持っている。
父としては、繁栄と長寿をセットで渡したわけや。めちゃくちゃ縁起がいいパック商品。
だいち
だいち
それなら二人とも受け入れたほうがいいよね。
マサ
マサ
ところがニニギは、姉のイワナガヒメが醜いとして返す。コノハナサクヤヒメだけを妻にする。ここで天の孫、面食いを世界史レベルでやらかす。顔面採用で寿命の保険をドブに捨てるんよ。
だいち
だいち
姉を返した瞬間に、寿命の保険も返してるのが怖い。
さやか
さやか
ひどい。しかも姉には何の落ち度もない。
ヤマト
ヤマト
返品理由が顔。最低のレビュー。ちんこで人事するなwww
マサ
マサ
父のオオヤマツミは怒る。私は二人をセットで差し出した。イワナガヒメがいれば天つ神の子の命は岩のように永遠だった。
コノハナサクヤヒメだけだから、命は花のようにはかなくなる、と。これで天皇の寿命も限りあるものになる。
だいち
だいち
寿命が短い理由、そこなの?
マサ
マサ
古事記ではそう語る。見た目で花だけ選び、岩の永遠を返した。結果、子孫の命は花のように咲いて散る。人間の有限性の由来として、めちゃくちゃ覚えやすい。
面食いのツケが子孫全員に回る。美の選択が、そのまま死の受け入れにつながるのが怖い。これ、合コンで顔だけ見て人生の保険を捨てた男の末路やで。
全員が一瞬黙ってから笑う。
ヤマト
ヤマト
イケメンの面食いが原因www
さやか
さやか
でも花の美しさと命の短さが一緒に来るのは、物語として残るね。
マサ
マサ
そう。笑えるけど、美しい話でもある。永遠の岩を拒んで、咲いて散る花を選んだ。だから人の命は短い。でも短いからこそ咲く。このへん、古事記は雑なようで強い。
だいち
だいち
ニニギの失礼さから、命のはかなさまで行くんだ。
マサ
マサ
決めの一言。人間の寿命が有限なの、ニニギが花だけ見て岩を返品したからや。

疑われた妻は産屋に火を放つ

マサ
マサ
結婚したコノハナサクヤヒメは、一晩で妊娠する。つまりセックスして、すぐ妊娠の話になる。するとニニギが疑う。
そんなに早く妊娠するなんて、俺の子じゃなくて地上の神の子ちゃうか、と。さっき自分が顔で姉を返品した男が、今度は妻を疑う。ちんこは出したのに責任だけ急に引っ込めるなって話や。
さやか
さやか
妊娠を疑われる側の尊厳が傷つく。これはかなりひどい。
だいち
だいち
コノハナサクヤヒメはどう証明するの?
マサ
マサ
ここで聞くで。潔白を証明したいコノハナサクヤヒメ、次なにしたと思う?
ヤマト
ヤマト
父親に証言してもらう。
だいち
だいち
神に誓う。
さやか
さやか
普通は話し合いだけど、神話だから怖い。
マサが両手で小さな屋根を作る。
マサ
マサ
産屋を作って、その中に入り、自分で火を放つ。天の神の子なら、火の中でも無事に産めるはずやと言って、燃える産屋の中で出産する。
さやか
さやか
産屋に火は絶対にダメ。何回でも言うけど絶対にダメ。
ヤマト
ヤマト
潔白証明の圧が強すぎる。疑った男のクソ失礼さまで燃やしてる。
マサ
マサ
炎の中で三人の子を産む。ホデリ、ホスセリ、ホオリ。ホデリが海幸彦、ホオリが山幸彦につながる。
次の兄弟げんかの主役や。つまりニニギの疑いと、コノハナサクヤヒメの火中出産が、海幸山幸へつながる。
ヤマト
ヤマト
父の疑いから、次世代の釣り針トラブルへ。家系図が忙しい。
だいち
だいち
また出産から次の物語が始まるんだ。
マサ
マサ
古事記はほんまに出産が物語の接続点になる。イザナミは火の神を産んで死に、コノハナサクヤヒメは火の中で子を産んで潔白を示す。火と出産が、真逆の結果で並ぶ。
さやかが深くうなずく。
さやか
さやか
火で命を失う母と、火で命を示す母がいるんだね。
マサ
マサ
決めの一言。天孫降臨の後に残る教訓は、神器より先に、面食いと疑いは家系全体を焦がすってことや。
天から降りた血筋でも、家庭の選択を間違えたら寿命と産屋に火がつく。神の家系でも、失礼な一言はちゃんと燃え広がる。

暗記用

これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ

口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。

  1. 国譲りくにゆずり

    オオクニヌシが地上をアマテラス側に譲った一大交渉。

  2. 天孫降臨てんそんこうりん

    アマテラスの孫ニニギが三種の神器と共に地上へ降りた事件。

  3. コノハナサクヤヒメこのはなさくやひめ

    桜のように美しい花嫁。産屋に火を放って潔白を証明した。

  4. イワナガヒメいわながひめ

    返品された姉。岩の永遠の命も一緒に返され、寿命が短くなった由来。

よくある質問

Q. 国譲りとは何か?
A. オオクニヌシが作った地上を、アマテラスの子孫が治める流れへ移す神話だ。タケミカヅチの交渉と力比べが中心になる。
Q. 天孫降臨とは何か?
A. アマテラスの孫ニニギが、三種の神器を持って天から地上へ降りる話だ。天の神の系統が地上支配へつながる場面になる。
Q. 三種の神器とは何か?
A. 鏡、草薙剣、勾玉の三つだ。天岩戸やヤマタノオロチの物語とつながり、皇位継承の象徴として今も語られる。
Q. コノハナサクヤヒメとは誰か?
A. ニニギが妻にした美しい女神だ。一晩で妊娠したことを疑われ、産屋に火を放って炎の中で三人の子を産む。
Q. なぜ人の寿命は短くなったとされる?
A. ニニギが岩の永遠を象徴するイワナガヒメを返し、花の美を象徴するコノハナサクヤヒメだけを選んだからだと語られる。

次に読む

もし現代でやったらコンプライアンス違反疑惑度★★★★

国ごとカツアゲして代金が神社一棟

  • 刑法109条
  • 刑法204条人の身体を傷害した者を処罰する規定(傷害)。
  • 刑法222条
  • 刑法223条暴行や脅迫を用いて、義務のないことを行わせるなどの行為に関する規定(強要)。
  • 刑法249条

元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。

入試に出た

この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。

  • センター試験・共通テスト 倫理(日本思想・古代の分野)分野別過去問集に「日本思想(古代)」の区分が立つほど繰り返し出題倫理(公共、倫理)

    出典: 記紀神話に表れる古代日本人の宗教観・倫理観

    倫理の「日本思想」分野の入口として、記紀神話に表れる古代日本人の考え方(八百万の神という多神教的な神観、天照大御神と天皇統治の結びつき、清らかさを重んじる心のあり方)を問う正誤問題が出題されてきた。受験用の分野別過去問集で「日本思想(古代)」として一区分が立つ定番領域。

    答えの要点:押さえる核は3つ。(1)日本の神は唯一絶対神ではなく、山や海など自然のあらゆるものに宿る「八百万の神」で、天照大御神(アマテラス)はその中心の太陽神。(2)記紀神話は、アマテラスの孫ニニギが地上に降りた天孫降臨によって「天皇はアマテラスの子孫だから国を治める」という統治の正当性を語る物語になっている。(3)古代日本人の理想は、私心なく嘘偽りのない「清き明き心(清明心)」で、穢れは祓や禊で除くものとされた。この3点セットで神話系の設問はほぼ処理できる。

腕試し(オリジナル問題)

過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。

問1「国譲り」でオオクニヌシが国を譲る際に出した条件は何か。それが現在の何につながるとされるか。

問2人間(天皇)の寿命が有限になった由来を、ニニギとイワナガヒメ・コノハナサクヤヒメ姉妹の話に即して説明せよ。