第1夜 ギリシャ神話 その10
ナルキッソス、水面の自分に恋して死んだ元祖ナルシスト
ナルシストの元祖は、鏡も自撮りもない時代に、水たまりに映った自分に恋して死んだ。しかも同じ話から、エコー、つまりこだまの語源まで出てくる。自己愛と反響、セットで地獄。顔が良すぎて性格がクソになる話でもある。
自分を知らなければ長生き















エコー、最後の言葉しか返せない

















報われない恋、本人に返却

















死んでもまだ見てる

















暗記用
これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ
口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。
ナルキッソス(なるきっそす)
水面の自分に恋して死んだ美少年。ナルシシズムの語源。
エコー(えこー)
相手の言葉の最後しか繰り返せない呪いのニンフ。こだまの由来。
ネメシス(ねめしす)
天罰の女神。調子に乗った人間に必ず請求書を届ける担当。
ナルシシズム(なるししずむ)
心理学の正式用語になった自己愛。神話が学問に昇格した例。
よくある質問
- Q. ナルシストの語源は何か
- A. ギリシャ神話の美少年ナルキッソスに由来する。水面に映った自分に恋して離れられず、衰弱して死んだ。
- Q. ナルキッソスとは誰か
- A. 多くの人に求愛された美少年。相手を冷たく拒み続け、天罰で自分自身の姿に恋した。
- Q. エコーの由来は何か
- A. ニンフのエコーがヘラの罰で相手の言葉の最後しか繰り返せなくなり、やがて声だけが残ったことに由来する。
- Q. 水仙とナルキッソスの関係は何か
- A. ナルキッソスが死んだ場所に水仙の花が咲いたとされる。英語の narcissus は水仙を指し、自己愛の象徴にもなる。
- Q. ナルシシズムとは何か
- A. 自己愛を指す心理学用語。フロイトらがナルキッソス神話に由来する言葉として使い、現在も広く用いられる。
次に読む
全員こじらせてるだけで前科はほぼゼロ
- ストーカー規制法つきまとい等の行為を規制する法律。
元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。
入試に出た
この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。
- 英国OCR GCSE ラテン語(J282)2023〜24年指定韻文文学(指定講読)
出典: オウィディウス『変身物語』第3巻「エコーとナルキッソス」
指定範囲(82行)のラテン語原文を訳読させ、エコーの「言葉の反復」やナルキッソスの独白といった詩の技法の効果を分析させる
答えの要点:押さえる核は3つ。(1)エコーは相手の言葉の末尾しか繰り返せない呪いを受けており、オウィディウスはナルキッソスの呼びかけの末尾をそのままエコーの返事として機能させる言葉遊びで2人の会話を組み立てている(この技巧の指摘が頻出)。(2)ナルキッソスは水面に映った像を他人と思って恋に落ち、「あれは俺だ」と気づいた後も離れられずに衰弱する。実体のない像への恋というテーマ。(3)死後、遺体の代わりに水仙の花が見つかるという変身の締め。この構造と技巧を原文に即して説明できれば得点になる。
腕試し(オリジナル問題)
過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。
問1「ナルシシズム(自己愛)」という心理学用語はこの神話に由来する。神話のどの部分が用語の内容と対応しているか、テイレシアスの予言と絡めて説明せよ。
問2「エコー(こだま)」の語源となったニンフのエコーは、なぜ「相手の言葉の最後しか繰り返せない」体になったのか。
問3ナルキッソスの物語は、現代のSNS社会を論じる際にしばしば引き合いに出される。どんな点が対応づけられるか、自分の考えを述べよ。