第1夜 ギリシャ神話 その9
イカロス、飛べた瞬間に調子乗って落ちる
史上初の航空事故。原因は機体の欠陥じゃなくて、若者の調子乗り。でも本当に怖いのは、翼を作った父親がそもそも嫉妬で人を突き落とす天才だったこと。親子そろって高度の使い方がクソ危ない。
天才、まず甥を落とす
















自分の島に閉じ込められる職人















真ん中を飛べ、を聞けない若さ















中間を飛べ、古代の教訓
















暗記用
これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ
口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。
ダイダロス(だいだろす)
迷宮も翼も作った天才職人。腕は超一流、人間性に前歴あり。
イカロスの翼(いかろすのつばさ)
羽と蝋の手作り翼。高く飛びすぎて溶ける、調子乗りの代名詞。
ラビュリントス(らびゅりんとす)
ミノタウロスを閉じ込めた迷宮。英語の labyrinth の語源。
中庸(ちゅうよう)
低すぎず高すぎず真ん中を飛べ。ギリシャ人の人生哲学そのもの。
よくある質問
- Q. イカロスの翼とは何か
- A. ダイダロスが鳥の羽と蝋で作った逃亡用の翼。イカロスは高く飛びすぎ、太陽の熱で蝋が溶けて墜落した。
- Q. イカロスの神話の教訓は何か
- A. 高すぎても低すぎても危ない、真ん中を飛べという教訓。無謀な野心や調子に乗った自滅の象徴としても読まれる。
- Q. ダイダロスとは誰か
- A. アテナイ出身の天才発明家。迷宮ラビュリントスや木の牛を作り、息子イカロスの翼も作った。嫉妬で甥を突き落とした前科もある。
- Q. fly too close to the sun とは何か
- A. 英語の慣用句で、太陽に近づきすぎるほど調子に乗って自滅すること。イカロス神話に由来する。
- Q. イカリア海の名前の由来は何か
- A. イカロスが蝋の翼を失って落ちた海とされ、その名からイカリア海と呼ばれるようになった。
次に読む
無許可フライトより親方の前歴がやばい
- 刑法199条人を殺した者に科される罪の規定(殺人)。
- 刑法203条殺人など一定の罪について、未遂の段階でも処罰しうることを定める規定。
- 刑法211条
- 刑法220条不法に人を捕らえ、または閉じ込める行為に関する規定(逮捕監禁)。
- 航空法
元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。
入試に出た
この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。
- 英国OCR GCSE ラテン語(J282)韻文文学(指定講読)
出典: オウィディウス『変身物語』第8巻「ダイダロスとイカロス」
ラテン語原文の指定範囲を訳読させ、語順や音の効果などオウィディウスの詩の技法が、飛行の高揚と墜落の場面をどう作っているかを分析させる
答えの要点:物語の核を押さえること。ミノス王に島に閉じ込められたダイダロスが「王は陸と海を支配しても空は支配できない」と考え、鳥の羽を蝋で固めた翼を作る。飛行前の忠告は2つで、低すぎると海の水気で羽が重くなり、高すぎると太陽の熱で蝋が溶ける、だから必ず中間を飛べというもの。下界の農夫や羊飼いが飛ぶ親子を神と見誤る場面、イカロスが高揚して上昇し蝋が溶けて墜落する場面、父が息子の名を呼び海に羽だけが浮かぶ結末(イカリア海の由来)。職人の技術の頂点が息子の死に直結する皮肉をオウィディウスが強調している点まで指摘できれば評価される。
腕試し(オリジナル問題)
過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。
問1ダイダロスがイカロスに与えた飛行の忠告は「高く飛ぶな」だけではなかった。忠告の全体を述べ、それが古代ギリシャのどんな倫理観と結びつくか説明せよ。
問2ダイダロスはイカロスの件の前に、アテナイで重大な事件を起こしてクレタ島へ来た。その事件の内容と、それが物語全体に与える意味を述べよ。
問3「イカロス」は現代の英語圏でどんな人物・行動の比喩として使われるか。対応する英語の言い回しとともに説明せよ。