第2夜 源氏物語 その5
六条御息所。軽く扱われた女のプライドが生霊になる
源氏物語でいちばん怖いのは幽霊屋敷じゃなく、セックスだけ食い散らかされてプライドが壊れた高貴な女の魂が、本人の許可なく夜中に出てきて人を殺すとこ。しかもノックなし。恋バナの顔して、最後だけ急に救急車来る。
六条御息所とはどんな女なのか







なぜ軽く扱われたことがここまで刺さるのか







夕顔の夜に何が起きたのか








なぜ恋愛ドラマが急に怪談になるのか







六条御息所の怖さはどこにあるのか









暗記用
これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ
口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。
六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)
高貴でプライドの高い女性。軽く扱われた痛みが物語を動かす。
生霊(いきりょう)
生きている人の思いが相手を苦しめる源氏物語の怖さ。
夕顔(ゆうがお)
光源氏が出会う薄幸の女性。六条御息所の怖さと結びつく。
物の怪(もののけ)
平安の人が説明できない苦しみを受け止めた言葉。
よくある質問
- Q. 六条御息所って誰?
- A. 亡くなった前の皇太子の奥さんだった高貴な未亡人で、光源氏の恋人の一人。教養も身分も高いのに、源氏にセックス後どんどん雑に扱われて、抑えた怒りと屈辱が生霊みたいに漏れていく女。
- Q. 生霊って何?
- A. 生きてる人の魂が、本人の意思と関係なく体から抜け出て、誰かに取り憑いて苦しめるやつ。死んだ人の幽霊じゃなく、生きてる人の抑えた執念が勝手に歩くから怖い。
- Q. 夕顔はなんで死んだの?
- A. 光源氏が夕顔を寂れた別邸に連れ込んだ夜、女の物の怪が現れて、夕顔は取り憑かれたみたいに苦しんで急死する。そこに六条御息所の嫉妬と生霊の影が重なる。
- Q. 夕顔の場面で六条御息所って断定される?
- A. 夕顔の章では名指しされない。でも後の葵の上の章で六条御息所の生霊がはっきり出るから、読者は後から、夕顔の夜の物の怪も六条さんでは、ってつなげて読む。
次に読む
生霊は不問、実害は浮気と車のいざこざ
- 刑法208条人に暴行を加えたが傷害には至らなかった場合に関する規定(暴行)。
- 刑法261条他人の物を損壊し、または傷つける行為に関する規定(器物損壊)。
- 民法709条故意または過失によって他人の権利を侵害した者に損害賠償責任を負わせる規定(不法行為)。
元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。
入試に出た
この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。
- 高校古典・大学入試(古文)国語(古文)
出典: 源氏物語「夕顔」廃院の怪(なにがしの院の場面)
光源氏が夕顔を寂れた院(なにがしの院)に連れ込んだ夜、枕元に女の物の怪が現れ、夕顔が取り憑かれたように苦しんで息絶えるくだり。高校古典で採られる定番箇所で、(1) 敬語の種類と向きから「誰の動作か」を判別させる人物関係の把握、(2) 物の怪が出た瞬間の光源氏や夕顔の心情、(3) 文脈に即した古語の語句解釈、(4) 場面の流れに関する内容合致、がよく問われる。源氏物語は大学入試の古文出典として最頻出の作品とされる。
答えの要点:人物関係は敬語で解く。地の文では作者から最も高い人物である光源氏に尊敬語が向き、夕顔や従者へはそれより軽い敬意になるので、敬語の種類と方向を手がかりに動作主を確定するのが核心。心情問題では、見慣れぬ女の影に襲われた光源氏の恐れと動揺、なすすべなく怯え弱っていく夕顔の様子を、本文の語に即して押さえる。語句は現代語の意味で当てず必ず文脈で訳す。内容合致は「寂れた院での逢瀬」「女の物の怪の出現」「夕顔の急死」という出来事の順序と因果を、本文に書かれた範囲だけで判断し、書かれていない断定(犯人が誰かなど)を選ばないのが正解の決め手。
- 高校古典・大学入試(古文)国語(古文)
出典: 源氏物語「葵」物の怪の場面、および能「葵上」
葵の上が物の怪に苦しむ場面と、自分の意志に反して生霊となってしまう六条御息所の苦悩を扱う箇所。心情の読み取りや、その場で詠まれる和歌の解釈が問われる。あわせて、世阿弥が改作したとされる能「葵上」が六条御息所の生霊を主役に据えた作品であることが、古典文学史・能楽の題材として問われることもある。なお大学入学共通テスト・センター試験で本文に採られた源氏物語の巻は胡蝶・薄雲・手習・夕霧・若菜下などで、夕顔巻や葵巻そのものの本文採用は確認できていない。
答えの要点:読解の核心は、六条御息所が「加害者でありながら被害者でもある」という二重性。誇り高い彼女は取り乱したくないのに、抑え込んだ嫉妬と屈辱が本人の意志を超えて生霊となり、正妻の葵の上を苦しめてしまう。だから心情問題では、単なる嫉妬ではなく「こんな自分を見たくないのに止められない」という自己嫌悪と苦悩まで読み取れているかが正解の分かれ目。和歌では、わが身から抜け出てさまよう魂を詠む嘆きの調子を捉える。文学史では、源氏物語の六条御息所の生霊が能「葵上」へと展開し、別の古典芸能の代表演目になった流れを押さえるとよい。
腕試し(オリジナル問題)
過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。
問1源氏物語「夕顔」の「廃院の怪」とはどのような場面か。どこで何が起き、夕顔がどうなったかを含めて二、三行で説明しなさい。
問2夕顔を襲った物の怪について、本文は犯人をはっきり名指ししない。それでも読者が六条御息所の影を感じるのはなぜか。物語全体の構成を踏まえて説明しなさい。
問3六条御息所は高い身分と教養を持ちながら生霊になってしまう。地位や誇りが高いことが、かえって人を苦しめることがある。この逆説について、現代の例も交えてあなたの考えを述べなさい。