第2夜 源氏物語 その4

葵の上。正妻で家柄も最強なのに、心は通わず孤独

家柄最強、父はほぼ政府トップ、夫は顔面モテ王子。勝ち確の正妻なのに、葵の上、夫の心だけ一生圏外。セックスして長男まで産むのに、愛だけ来ない。しかも夫がよそで燃やした女の恨みが、なぜか葵の上の体に来る。火元の光源氏だけ無傷なの、普通に意味わからんwww

葵の上は誰か、なぜ正妻として最強なのか

りり
りり
葵の上ってさ、源氏物語の序盤から設定盛りすぎ女なのよ。光源氏の正妻。光源氏は天皇の子で、顔よし血筋よし才能よし、女がだいたい人生狂うモテ王子。
で、葵の上は左大臣の娘。左大臣って何かというと、要は国の政治を動かすほぼトップ級の人。つまり父の権力が太すぎる。
こゆき
こゆき
初期設定だけで勝ってるじゃんwww
りり
りり
勝ってる。しかも当時は、今みたいに一人の相手だけと結婚して終わり、って感覚じゃない。男に複数の女がいて、その中で家柄や立場が一番強い筆頭の妻が正妻。
葵の上はそこ。恋愛で選ばれたかわいい彼女というより、家と家をつなぐ最強カード。左大臣家と光源氏側がつながるから、結婚そのものが政治の同盟なのよ。
こゆき
こゆき
出会いが国家プロジェクトwww
りり
りり
ほんとそれ。しかも葵の上は光源氏より年上で、格も高い。普通なら、夫は光源氏、父は左大臣、自分は正妻、はい人生優勝、ってなるじゃん。
周りから見たら、席も家も肩書きも全部ある。なのに源氏物語、ここで性格悪い。全部持ってる女に、夫の心だけ渡さない。
ユウキ
ユウキ
条件だけなら投資案件として強すぎるのに、肝心のリターンが来ないやつだ。
ことね
ことね
いやしんど。全部あるのにそこだけ空くの、きつい。
グラスの氷がカランと鳴る。
りり
りり
葵の上、席は一番前なのに、夫の心だけ最後列。遠すぎて双眼鏡いるwww

なぜ光源氏と葵の上は心が通わないのか

りり
りり
で、条件完璧なら仲良くなるはずじゃん。ここが人間のめんどいところで、葵の上が嫌な女だから不仲、じゃないのよ。葵の上は誇り高い。自分は正妻で、父は左大臣。
雑に扱われる女じゃない。だから、寂しい、私を見て、って簡単に崩れられない。プライドが高いというより、立場が高すぎて弱音を出す場所がない。
こゆき
こゆき
強い女ほど泣く場所ないの、普通にきつい。
りり
りり
そこに若い光源氏が来るわけ。顔は最強。だけど若いし、モテるし、他の女のところにもスッと行く。
葵の上からしたら、いや私は正妻なんだけど、なんで夫が外で恋愛しまくってんの、ってなる。でも怒りをぶつけるにも、正妻の看板がでかい。私は平気です、みたいな顔をしてしまう。
ユウキ
ユウキ
強い立場ほど弱音は損に見えるやつだ。
りり
りり
ユウキそれ。弱いなら泣ける。怒れる。夜中に友達へ電話して、あいつ無理、って言える。
でも葵の上は、家柄も正妻の立場も背負ってるから、感情が出る前に背筋が伸びちゃう。光源氏も光源氏で、そういう女にちゃんと向き合う器がまだ薄い。冷たくされたら、じゃあ別の女のとこ行こ、ってなる。火元が自分だと気づかないタイプ。
ことね
ことね
最悪なのに顔だけいいの腹立つな。
りり
りり
ほんと腹立つ。葵の上は嫌な女じゃない。格とプライドと若さが全部ぶつかってる。
立派な妻として立ってる女と、モテすぎて人の寂しさを軽く見る男。この二人、同じ家の中にいるのに、心だけ別の駅にいる。
一瞬だけ全員黙る。
りり
りり
つまり光源氏、顔がよすぎる既読無視。通知は光るのに返信がない男www

子を産んでも孤独は消えない

りり
りり
で、心が遠いなら夫婦として何もないのかと思うじゃん。違うんだわ。平安の上流の結婚って、好き同士で毎日きゃっきゃするだけじゃない。正妻には役目がある。家をつなぐ。
血筋を残す。後継ぎを産む。だから光源氏と葵の上はセックスする。で、子が生まれる。その子が夕霧。
こゆき
こゆき
セックスもして子どももできるのに、心は遠いの? それ一番いや。
りり
りり
一番いやなやつ。夕霧は、葵の上が産む光源氏の長男。あとで物語の次の世代でもかなり大事になる人。
つまり葵の上は、家のためにも物語のためにもちゃんと結果を出してる。正妻としての大仕事をしてる。なのに、役目を果たしたら愛される、なんて保証はどこにもない。
ユウキ
ユウキ
成果物は納品したのに、心の報酬だけ未払いか。
りり
りり
言い方が会社すぎるwww でもほんとそれ。現代でも、付き合った、セックスした、結婚した、子どもできた、ここまで行ったら愛もセットでついてくると思いたいじゃん。でも源氏物語はそこをバッサリ割る。体が近いことと、心がそこにいることは別。
セックスはあった。出産もあった。でも心が住んでるかは別問題。
これ、葵の上がただ捨てられた女ならまだ話が早いのよ。でも違う。選ばれてる。正妻になってる。
光源氏との子も産んでる。全部やったのに心だけ届かない。だからしんどい。外から見たら勝ち組なのに、本人の中ではずっと寒い。
こゆき
こゆき
それ、外から褒められるほど逃げ場なくなるやつじゃん。
箸が止まる。
りり
りり
夕霧は生まれた。でも愛は生まれてない。そこだけ産院に来てないのよ。

六条御息所の生霊が葵の上を苦しめる

りり
りり
で、葵の上の地獄、夫婦の冷えだけで終わらない。ここで六条御息所が来る。読みは、ろくじょうのみやすどころ。
御息所っていうのは、すごく身分の高い女性につく呼び方だと思っていい。六条御息所は高貴で、教養もあって、光源氏より年上の恋人。大人のいい女なのに、光源氏に本気になって心が削れていく。
こゆき
こゆき
光源氏と関わった女、みんな保険入って。
りり
りり
恋愛災害保険ほしいwww で、事件が葵祭で起きる。葵祭は、平安の都でめちゃくちゃ人が集まる大きな祭り。そこで貴族たちは牛車で見物に来る。
今で言うと、人気イベントの特等席を車ごと取りに来る感じ。そこで葵の上の一行と、六条御息所の一行が場所取りでぶつかる。
しかも六条御息所は、人目を避けてそっと来てる。なのに葵の上側の人たちが強く出て、御息所の車が人前で押しのけられる。身分の高い女が、大勢の前で恥をかかされるわけ。これ、ただの場所取りじゃない。
プライドを踏まれた瞬間なの。相手は正妻。自分は光源氏の恋人。もう空気が最悪。
ことね
ことね
うわ、見物どころじゃないじゃん。
りり
りり
で、この恨み、次にどこ行ったと思う? 光源氏にぶつける? 祭りの係にキレる? 家で泣いて終わる?
こゆき
こゆき
祭りの係に星一つ。牛車誘導が終わってます、って書く。
ユウキ
ユウキ
普通に光源氏に請求じゃん。火元なんだから。
ことね
ことね
家で枕に顔うずめて叫ぶとか。
りりがゆっくりグラスを置く。
りり
りり
正解、葵の上の体に来る。夫の恋愛事故なのに、ぶつかる先が正妻。意味わからんすぎて怖いwww
ここで出るのが生霊。読みは、いきりょう。生きてる人の強い恨みとか執着が、本人の意志と関係なく抜け出して、相手を苦しめるって考え方。六条御息所は死んでない。
生きてる。でも心の中の嫉妬と恥が強すぎて、本人より先に恨みが外へ出る。しかも狙うのが光源氏じゃなくて葵の上。
こゆき
こゆき
怖すぎ。本人は生きてるのに恨みだけ外出してるの無理。
りり
りり
葵の上からしたら、私は正妻として祭りに来ただけ。なのに夫がよそで燃やした恋の煙が、私の体に入ってくる。六条御息所も悪役ってだけじゃない。高貴でプライドがあって、でも愛されたい欲に壊されてる。
葵の上も正妻の強さの中で孤独。二人とも削れてる。なのに火元の光源氏だけ顔涼しい。
店の奥で氷の機械が低く鳴る。
りり
りり
火元の光源氏だけ無傷。火事場で一人だけ白い服の放火魔。ほんと何その顔www

葵の上の話が現代でも刺さる理由

りり
りり
葵の上が今でも刺さるのって、古典は奥深いから、みたいな上品な理由だけじゃない。もっと生々しい。人間って、セックスしたいし、子を残したいし、いい家とつながりたいし、自分より愛される女に嫉妬する。
源氏物語って全54巻の長い作品だけど、ずっと上品な顔してその本音をやってる。十二単に包んでるだけで、中身は普通に欲と嫉妬と恋愛事故。
こゆき
こゆき
十二単、防火服じゃないんだねwww
りり
りり
防火どころか燃える素材よ。教科書だと、葵の上は正妻で、六条御息所の生霊に苦しむ、ってきれいに並ぶ。でも飲み会で言うならこう。正妻なのに愛されない女がいる。
恋人なのに選ばれない女がいる。真ん中で光源氏があちこちに火をつける。火事になったら、なぜか女同士の怨念バトルとして処理される。いや火元どこだよ。
ユウキ
ユウキ
原因の上司だけ評価面談に出てこない社内トラブルじゃん。
りり
りり
それwww でもここで光源氏だけを殴って終わると、話が薄い。葵の上は負けた女じゃない。形式上は勝ってる。家柄もある。正妻の席もある。
夕霧も産む。全部ちゃんとやってる。でも心だけ来ない。外側をどれだけ固めても、心の穴には普通に風が入る。
ことね
ことね
勝ってるのに寒いの、いちばん刺さる。
りり
りり
そう。これがえぐい。人って、条件がそろえば幸せになれると思いたいじゃん。いい家、いい相手、子ども、立場。だけど源氏物語は、そこまで全部並べてから言うのよ。
それでも相手の心は別物だよって。セックスしても、子を産んでも、家と家がつながっても、心までは縛れない。全部やったのに心だけ届かない。ここが葵の上。
じゃあ最後に聞くね。全部持ってる葵の上が取りこぼしたのは何だと思う? 家柄? 地位? 子ども?
こゆき
こゆき
愛! もうそれしかない!
ことね
ことね
答え早いけど正解すぎる。
りりが指を鳴らす。
りり
りり
そう。葵の上は全部やったのに、心だけ届かない女。で、火元の光源氏だけ最後まで顔がいい。呼べ。光源氏をここに呼べwwww

暗記用

これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ

口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。

  1. 葵の上あおいのうえ

    光源氏の正妻。家柄は最強なのに心は遠い。

  2. 賀茂祭かものまつり

    車争いの舞台。華やかな祭りが女同士の戦場になる。

  3. 車争いくるまあらそい

    場所取りのもめ事。平安のプライド衝突が見える場面。

  4. 正妻せいさい

    立場は強いが、愛されるとは限らない残酷な位置。

よくある質問

Q. 源氏物語の葵の上って誰?
A. 光源氏の正妻で、左大臣の娘。家柄も立場も最強クラスで、光源氏とのセックスで夕霧を産む人だよ。
Q. 葵の上と光源氏はなんでうまくいかないの?
A. 葵の上は誇り高い格上正妻で、光源氏は若くて他の女にも通う。嫌な女だから不仲というより、立場とプライドと若さがぶつかって心の距離が埋まらない。
Q. 夕霧って誰?
A. 葵の上が光源氏とのセックスで産む長男。後の世代の物語にもつながる大事な人物だよ。
Q. 六条御息所の生霊って何?
A. 六条御息所の強い恨みや嫉妬が、本人の意志と関係なく抜け出して葵の上を苦しめるもの。本人は生きてるのに恨みだけが相手へ行くのが怖いところ。
Q. 葵祭の車争いって何が起きたの?
A. 葵祭の見物で、葵の上側と六条御息所側が牛車の場所取りでぶつかった。御息所の車が人前で押しのけられて大恥をかき、その屈辱が生霊の流れにつながる。

次に読む

もし現代でやったらコンプライアンス違反疑惑度★★★★★

場所取りで煽ったら生霊で返された

  • 刑法208条人に暴行を加えたが傷害には至らなかった場合に関する規定(暴行)。
  • 刑法231条公然と人を侮辱する行為に関する規定(侮辱)。
  • 刑法261条他人の物を損壊し、または傷つける行為に関する規定(器物損壊)。
  • 民法709条故意または過失によって他人の権利を侵害した者に損害賠償責任を負わせる規定(不法行為)。

元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。

入試に出た

この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。

  • 高校古典・大学入試(古文)国語(古文)

    出典: 源氏物語「葵」車争ひの場面

    賀茂祭(葵祭)の御禊の見物で、葵の上方の従者が見物の場所を確保しようと、お忍びで来ていた六条御息所の牛車を強引に押しのけ、車を壊して下げさせる車争いの場面。高校古典の定番教材で、(1)敬語の使い分けから誰が誰を敬い、どの動作の主語が誰かを特定する問題、(2)押しのけられた御息所の心情説明、(3)本文の内容合致、がよく問われる。源氏物語は大学入試の古文出典として最頻出級の作品。

    答えの要点:まず人物関係を敬語で整理するのが核心。正妻で左大臣家の葵の上方が、身分は高いが正式な妻ではなくお忍びで来た六条御息所方を、人数と権勢にものを言わせて力ずくで押しのける、という上下と立場の差を押さえる。地の文の尊敬語は両貴人に向くが、乱暴を働くのは葵の上方の供人(従者)であり、葵の上自身が直接命じた描写ではない点に注意。御息所の心情は、公衆の面前で車を壊され下座に追いやられた深い屈辱と、人目を忍んで来ていたのに正体まで知られてしまった恥、そして相手が光源氏の正妻であることへの嫉妬と恨み、と書けばよい。この恥辱がのちの生霊の伏線になる、という物語上の意味まで触れると完答に近い。

  • 高校古典・大学入試(古文)国語(古文)

    出典: 源氏物語「葵」葵の上と物の怪(御息所のもの思ひ)の場面

    出産前後の葵の上が物の怪(生霊)に苦しめられる場面と、自分の意志に反して生霊となってしまう六条御息所の苦悩。傍線部の解釈、御息所の心情の読み取り、嘆きを詠んだ和歌の解釈が問われる。なお大学入学共通テスト・センター試験で本文に採られた源氏物語は胡蝶・薄雲・手習・夕霧・若菜下などで、葵巻そのものの採用は確認できていない。

    答えの要点:読解の核心は、御息所が「望んでそうしたのではない」点をつかむこと。御息所は、まどろむと葵の上のもとへ行って苦しめている夢を繰り返し見て、自分の魂が体を離れてさまよっているらしいと気づく。さらに、加持祈祷で焚かれる芥子(けし)の香が、洗っても自分の髪や衣に染みついて取れないことから、自分が生霊になって葵の上に取り憑いていた事実を突きつけられ、激しく恥じ、おびえる。設問では、この「意志と無関係に魂が抜け出てしまう恐ろしさ」と「自分を抑えられない自己嫌悪」の二つを心情として書くのが要点。嘆きの和歌は、宙にさまよい出る自分の魂をつなぎ留めてほしい、という制御できない情念を詠んだものとして読み、御息所を単なる悪役でなく情念に壊される人物として捉えると評価される。

腕試し(オリジナル問題)

過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。

問1源氏物語「葵」の「車争ひ」とはどのような出来事か。きっかけと、それが物語のその後にどうつながるかを含めて二、三行で説明しなさい。

問2「生霊」とはどのようなものか説明したうえで、六条御息所が生霊になってしまうことが、彼女をただの悪役にしない理由を述べなさい。

問3葵の上は正妻という最高の立場にありながら孤独だった。立場が満たされることと心が満たされることは別だ、というこの物語の主題について、現代の例も交えてあなたの考えを述べなさい。