第2夜 源氏物語 その7

明石の君。子を産むことで未来を取りにいった女

本命じゃない女が、光源氏とセックスして産んだ娘で、都のてっぺんに家ごと引っ越す話。

明石の君とは誰?須磨落ちした光源氏が出会った地方の姫

りり
りり
乾杯の前にこれだけ聞いて。明石の君って、恋の本命にはなれないのに、産んだ娘で家系図のど真ん中を取りにいく女なの。恋のトーナメントでは負ける。
でも子のトーナメントで勝つ。ここがやばい。
相手は光源氏。天皇の子なのに、臣下に下げられた男。臣下に下げられたって、天皇の子から家来側の身分にされたってこと。
顔も血筋も音楽も文章も全部入りの平安モテ化け物。それが都の政争でしくじって須磨へ飛ばされる。都で大失敗した花形が、急に田舎の支社で潮風浴びてる絵。
こゆき
こゆき
左遷イケメン、情報量多すぎwww
りり
りり
で、須磨で嵐。海はゴオオ、心はバキバキ。亡くなった父帝っぽい夢まで見て、光源氏のメンタルが完全に折れる。そこから明石へ移る。
ここで出てくるのが明石入道。仏門に入った地方の有力者なんだけど、ただの隠居じゃない。金ある、土地ある、教養ある、娘への野心が異常。
娘を地元のいい子で終わらせる気がゼロ。都の高貴な血筋に家ごと突っ込ませる気でいる。父親の祈りがもう、娘よ幸せに、じゃなくて、娘よ家系図を上れ、なのよ。
ユウキ
ユウキ
娘を上場狙ってる父みたいな顔してそう。
りり
りり
そう。明石の君は地方の姫で、都の最上級ではない。でも琴もうまい、手紙も品がある、家もちゃんとしてる。
カードは少ないのに、一枚一枚が強い。都の中心に生まれなかった女が、自分の子を中心に送り込む話なの。
グラスの氷がカランと鳴る。
りり
りり
これ、恋愛じゃなくて家系図の殴り込みなのよ。

明石入道の野心はなぜ怖い?父が娘に賭けた一発逆転

りり
りり
明石入道の怖さって、娘かわいいねえで終わらないところ。琴を仕込む。教養を仕込む。都の男が見たら、え、明石にこんな女いるの、って二度見する女に育ててる。怖い怖いwww
狙いははっきりしてる。娘が高貴な男の子を産むこと。その子が上へ行くこと。
一族ごと都の中央へ上がること。つまり娘の恋じゃなくて、娘の子宮から家の未来を引っぱり上げようとしてる。言い方は最悪だけど、平安の権力ってそこが本気で大事なの。
ことね
ことね
父親の願い、重すぎて胃が痛い。
りり
りり
しかも相手が光源氏。弱ってるけど超エリート。だけど都には紫の上がいる。
紫の上は光源氏の心の本命。最初から予約席が埋まってる店に、明石の君は入っちゃったわけ。カウンターの端なら空いてるけど、真ん中の席にはもう紫の上の荷物が置いてある。
こゆき
こゆき
その店、入った瞬間しんどいwww
りり
りり
明石の君本人も、奪いに行くタイプじゃない。身分差もわかってる。都の女じゃない負い目もある。
でも父親は、ここで行かなきゃ家の未来が閉じる、くらいの目で娘を押し出す。愛だの品だの言ってるけど、奥にあるのは家の上昇願望。
じゃあ問題。父親がここまで仕込んだ娘を、弱った超エリート光源氏に近づけたら、次に何が起きると思う?
こゆき
こゆき
和歌で様子見?
ユウキ
ユウキ
琴で様子見して、いったん保留。
ことね
ことね
父親だけ先に泣く。
りりが指を一本立てる。
りり
りり
全部上品に見せかけて、最終的にセックスまで持ってく。平安、包装紙だけ高級すぎるwww

光源氏と明石の君はなぜセックスした?恋より先に血筋が動く

りり
りり
平安の恋って、じらしが長いの。噂を聞く、手紙を出す、和歌で返す、琴の音を聞く、やっと会う。しかも審査項目が細かい。
字はうまいか、返しは気が利くか、家はどうか、空気を読めるか。今の出会いよりチェックが多い。
ユウキ
ユウキ
恋愛なのに審査票が分厚い。
りり
りり
で、光源氏は明石の君に惹かれる。明石の君も揺れる。だって目の前にいるのが都のトップ級イケメンで、しかも失脚して弱ってる。弱ったハイスペ男に優しくされたら、情緒がズドンと落ちる。
そこに父の野心と本人の品と源氏の孤独が混ざって、はい、セックス。ここはぼかさない。セックスした結果、明石の君は娘を産む。
こゆき
こゆき
和歌から急にベッド直行で笑うwww
りり
りり
でも源氏物語の怖いところは、セックスが二人だけの話で終わらないところ。ちんこが動いた瞬間に家と政治も動く。明石の君が産んだ女の子、明石の姫君が、あとでとんでもない場所まで上がる。
流れを言うね。明石の姫君は、母の身分だけだと宮中の一番いい場所に届きにくい。だからあとで紫の上のもとで育てられる。
紫の上は光源氏の本命で、都の最上級の後ろ盾を持つ女。その養女として育つことで、明石の姫君は宮中への道が開く。
そして入内する。入内って、宮中に入って帝の妻になること。さらに中宮になる。
中宮って、帝の后の最高位。そこで皇子たちを産む。つまり地方出身の明石の君が直接つかめなかった都のてっぺんに、娘が座りにいくの。
全員が一瞬黙る。
りり
りり
夜にしたセックスが、何十年後の国の跡継ぎ問題になるんだよ。枕がでかすぎる政治スイッチ。

娘を産むと何が変わった?明石の君が政治的に最強になる仕組み

りり
りり
都に戻っても、明石の君が、はい今日から正妻ね、とはならない。身分が足りない。地方出身ってだけで、都の扉が重い。
しかも産んだ娘は、よりによって紫の上のもとで育てられる。自分が産んだ娘を、光源氏の本命の女に預けるの。
こゆき
こゆき
母の心えぐれるやつじゃんwww
りり
りり
えぐれる。普通にきつい。だけど戦略としてはめちゃくちゃ強い。明石の君の手元で育つと、娘はどうしても母の身分の低さに引っぱられる。父が光源氏でも、宮中って、母の家柄も見る世界なの。
でも紫の上の養女になれば話が変わる。都の最上級の後ろ盾、教育、見られ方が手に入る。母としては痛い。
家としては最強。ここが源氏物語の嫌なうまさ。泣ける場面なのに、同時に家系図に娘をぶっ刺す一手でもある。
ユウキ
ユウキ
感情は地獄なのに、手としては強すぎる。
りり
りり
で、また聞くよ。自分の娘を本命女に出した明石の君、最終的に何を得ると思う?
こゆき
こゆき
せめてごめんねLINE?
ユウキ
ユウキ
都のいい家。
ことね
ことね
父親が泣きながら土下座。
りりがテーブルを叩く。
りり
りり
娘が中宮になって皇子を産む。ごめんねLINEじゃなくて皇子。スケールが違う。明石入道の野心、腹立つくらい当たってるのよ。
こゆき
こゆき
強すぎて笑うしかないwwww
りり
りり
ここで外戚の話。外戚って、后の実家として権力を握る母方の親戚のこと。平安の権力は、誰の母方の親戚になるかで決まるところが大きい。
娘を帝の后にする。その娘が皇子を産む。するとその一族は、次の天皇候補の母方の家として政治の中心に近づく。
だから明石の君は、光源氏の好き好きランキング一位じゃなくても、家の未来では勝ってる。家系図を開いた瞬間、太い線で中央に刺さってる。
恋で勝つ女、家で勝つ女、子で勝つ女。勝ち筋は一個じゃない。

明石の君の勝ち方は何がすごい?女の勝ち方は一つじゃない

りり
りり
最後にここだけ持って帰って。明石の君は、恋愛漫画の勝ちヒロインじゃない。光源氏の心の本丸は紫の上。そこは変わらない。紫の上は一番深く愛される。でも自分の実子はいない。ここがきつい。
ことね
ことね
愛されてるのに痛いの、最悪に効く。
りり
りり
明石の君はその逆。心の一番にはなれない。都での身分も足りない。娘を手放す痛みもある。でも産んだ娘が未来の権力の真ん中に入る。
愛では紫の上。血筋の継承では明石の君。源氏物語、恋愛小説の顔して家と血筋の話を後から突きつけてくる。甘口じゃない。
ユウキ
ユウキ
好きだけで終わらせてくれないの、怖いな。
りり
りり
現代だと、愛されることが勝ち、選ばれることが勝ち、で話をまとめがちじゃん。でも源氏物語はそこを簡単にしてくれない。愛されても苦しい人がいる。
本命じゃなくても未来を取る人がいる。夜のセックスが何十年後の政治を動かす。さっきの包装紙だけ高級な平安恋愛、開けたら中身は家と子と権力なの。
こゆき
こゆき
包装紙びりびりにしたら中身重すぎwww
りり
りり
明石の君のすごさは、前に出て奪わないところ。泣く。耐える。品を失わない。
でも結果として娘を通じて未来を取る。自分が座れない席に、子を座らせる。静かに見えるけど、家系図にはめちゃくちゃ強く刺さってる。
全員のグラスが止まる。
りり
りり
明石の君、泣きながら耐えてたんじゃなくて、未来に自分の名前をぶっ刺してたのよ。

暗記用

これだけ覚えたら、教養人の顔で会話に入れるフレーズ

口に出す時は、言葉と読みをセットで覚えると強い。

  1. 明石の君あかしのきみ

    地方にいるが、娘を通して未来を取る女性。

  2. 須磨すま

    光源氏が都を離れて落ちる場所。転落と再起の舞台。

  3. 明石の姫君あかしのひめぎみ

    明石の君の娘。後の栄華につながる重要人物。

  4. 地方の姫ちほうのひめ

    都の一番手ではないが、血筋で盤面を変える存在。

よくある質問

Q. 源氏物語の明石の君って誰?
A. 明石入道の娘で、須磨から明石へ移った光源氏とセックスして、明石の姫君を産む女。恋の本命ではないけど、産んだ娘で一族の未来を都の中心へ押し上げる。
Q. 明石の君は光源氏の本命なの?
A. 本命は紫の上。明石の君は心の一番にはなれない。でも娘を産んだことで、恋愛枠を超えて家系図と政治の中心に食い込む。
Q. 明石の君の娘はその後どうなる?
A. 明石の姫君は紫の上のもとで育てられ、入内して中宮になる。入内は宮中に入って帝の妻になること、中宮は帝の后の最高位。そこで皇子を産み、明石の君の血筋を大きく押し上げる。
Q. 娘を紫の上に預けるのはなぜ強いの?
A. 明石の君の身分だけでは、娘が宮中の高い場所へ進みにくいから。紫の上の養女になれば、都の最上級の後ろ盾と教育が手に入る。母としては痛いけど、家としては最強の一手になる。

次に読む

もし現代でやったらコンプライアンス違反疑惑度★★★★★

左遷先でしれっと子作りして大逆転

  • 民法709条故意または過失によって他人の権利を侵害した者に損害賠償責任を負わせる規定(不法行為)。

元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。

入試に出た

この作品が実際の大学・高校入試でどう問われたかを、出典を明記して紹介します。

  • 全国の大学入試(古文の頻出出典)国語(古文)

    出典: 源氏物語 須磨・明石・薄雲ほか

    源氏物語は古文の入試出典で最も多く使われる作品とされる。なかでも光源氏の須磨明石への流離と、薄雲の巻で明石の君が幼い姫君を紫の上に託す母子の別れの場面は、高校古典の教材としても入試の素材としてもくり返し扱われ、傍線部の心情説明、人物関係の把握、敬語が誰から誰への敬意かの判別、和歌の解釈が問われやすい。

    答えの要点:明石の君の心情を問う設問では、姫君を手放したくない母の情と、娘の将来のためには都の最上級である紫の上に託すしかないという理性の板挟みを、両方おさえて書くと正解になる。地方出身で身分の低い自分の手元では娘が宮中で上がれない、という身分の論理が痛みの背景にある点を外さないこと。敬語の問題は、語り手が源氏や姫君に向ける尊敬語と、身分の低い明石の君側の描かれ方の差に注目すると敬意の方向が判別できる。人物関係は、明石の君(実母)と紫の上(養母)と明石の姫君(娘)、そして父である源氏という縦の関係を整理すれば読み違えない。

  • 大学入学共通テスト試行調査(プレテスト)2017・2018国語(古文)

    出典: 源氏物語

    共通テスト導入前の二回の試行調査が、いずれも源氏物語を題材にした。本文一つを訳すだけでなく、本文と後世の注釈や解説、別の文章を並べて照らし合わせ、内容の一致や食い違いを判断させる新傾向の設問が試された。明石の物語を含む源氏物語全体が、共通テスト系でも中心的な出題源であることを示す事例。

    答えの要点:この型の設問で正解するには、まず本文の主語(誰の動作・心情か)を敬語と文脈から確定し、現代語の選択肢が本文のどの語に対応するかを一語ずつ照合する。複数資料型では、本文と注釈や別資料が同じ内容を言っているか、どこがずれているかを突き合わせて、両方の根拠がそろう選択肢を選ぶのがコツ。源氏物語では人物が官職名や呼び名で示され主語が省かれやすいので、誰が誰に敬意を払っているかを手がかりに人物を補って読むと、選択肢の正誤を根拠を持って切れる。

腕試し(オリジナル問題)

過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。

問1明石の君は、自分が産んだ姫君を、源氏の本命である紫の上のもとで育てさせることに同意した。母として手放す痛みがあるのに、なぜそれが一族にとって有利な選択になったのか、身分という観点から説明しなさい。

問2明石の君は恋では一番になれなかったが、別の形で勝ったと言える。彼女が最終的に手にした成果を一つ挙げ、それが平安貴族社会でなぜ大きな価値を持ったのかを説明しなさい。

問3紫の上と明石の君は、源氏物語の中で対照的な勝ち方を象徴している。二人の違いを、愛と子という観点から対比して説明しなさい。