第6夜 norse その6
ラグナロク。神々が負けるのに出勤してくる終末
ラグナロクの一番えぐい所は、神々が自分たちの負けを予言で知ってること。知ってて全員フル出勤する。終末のシフト表に名前が入ってて、誰も有休を出さない。寒さ、爪の軍艦、ロキの裏切り、炎の巨人、そして焼けたあとにしれっと二周目。神話のくせに労働観が硬すぎる。
まず、ずっと寒い

リョウタ
ラグナロクってさ、いきなりラスボス戦じゃない。まず寒い。フィンブルの冬っていう、夏が来ない厳しい冬が三年続く。終末の初手が気温。北欧、発想がガチで寒冷地。

カイト
世界の終わりが天気予報から始まるのかwww

リョウタ
そう。俺のアウトドア店の冬の倉庫でも玉縮むのに、三年夏なし。玉がもう住所変更するレベル。

マオ
玉の住民票出すなwww

リョウタ
しかも寒いだけじゃない。飯がない、余裕がない、信用もない。斧の時代、剣の時代、狼の時代って呼ばれて、人間の治安がガタガタに落ちる。親族同士でも揉める。世界がまず生活から崩れる。

ナギ
怪物より先に家の空気が終わってる

リョウタ
で、ここがラグナロクの嫌な所。神々はこの流れを予言で知ってる。負けるのも知ってる。なのに逃げない。普通に集まる。全員、終末の朝にタイムカード押しに来る。

カイト
負け確定の現場に出社するの理不尽すぎるwww

マオ
神様なら在宅にしろよwww

リョウタ
でも北欧の神々は在宅しない。寒い、腹減る、人間関係終わる、そこまで来てから怪物が来る。爆発で一発終了じゃなくて、日常の底が抜けたあとに本番が来る。
テーブルの鍋がぐつぐつ鳴る。

ナギ
今この鍋めちゃくちゃ尊いな

リョウタ
そう。暖かい飯があるって終末回避なんよ。フィンブルの冬は、神話の派手さの前に、まず人間から余裕を奪う。だから読んでると、怪物より先に冬が怖い。
怪物、全員出勤

リョウタ
冬で世界がガタガタになったところで、怪物側も全員出勤する。フェンリルが鎖を切る。大蛇ヨルムンガンドが海から上がる。ロキが敵側に来る。炎の巨人スルトも来る。

ナギ
来客リストが最悪すぎるwww

リョウタ
昔、神々がこいつ危ないから縛ろう、海に置こう、罰しようって先送りしたやつが、全部まとめて返ってくる。会社で放置した未対応メールが、人の形で受付に並んでる感じ。

カイト
自分らの未処理タスクが歩いて来るの嫌すぎるwww

リョウタ
さらにナグルファル。敵が乗ってくる船なんだけど、材料が死者の爪。だから古い話では、死者の爪は切っとけって言われる。長い爪を残すと敵の軍艦の材料になる。

マオ
爪切りが世界防衛なの意味わからんwww

ナギ
身だしなみのスケールがでかいwwww

リョウタ
死ぬ前に清潔感を整える理由が、モテじゃなくて終末対策。爪切っとけよ、敵の軍艦になるから。これ飲み会で一回言うと絶対残る。

カイト
安全保障のためにドラッグストアで爪切り買うわwww

リョウタ
で、ロキのプロフィール欄も荒れすぎ。昔は神々を助ける変身上手。しかも牝馬に化けて種馬とセックスして、八本足の馬スレイプニルを産んだこともある。

マオ
え待って馬とやったの?wwww

ナギ
変身上手の使い道が自由すぎるwww

リョウタ
そのロキが今度は終末の敵側代表になる。牝馬になって馬とやって子ども産んだあのロキが、最終回で世界の敵。履歴書の職歴がジェットコースターすぎる。

マオ
恋愛遍歴どころじゃないwww

リョウタ
フェンリルは神々が縛った狼。ヨルムンガンドはトールの宿敵の大蛇。ロキは神々と揉めに揉めたトリックスター。
スルトは最後に世界を焼く炎の巨人。寒さで始まった終末が、最後は炎で終わる。冷凍庫から業務用オーブン。

カイト
温度管理が雑すぎるwww

リョウタ
そしてヘイムダル。神々の見張り番で、角笛ギャラルホルンを吹いて終末を知らせる係。要はアスガルドの警備員兼アラーム係。

ナギ
終末の通知音が生演奏なのいいな

リョウタ
怪物も神々も持ち場がある。フェンリルはオーディンへ、蛇はトールへ、ロキはヘイムダルへ。ラグナロクは混乱してるのに、配置表だけめちゃくちゃきっちりしてる。
神様、全員フル出勤で全滅

リョウタ
戦いが始まる。で、この準備の鬼だった最高神オーディン、最後どうなると思う?

カイト
予言知ってるなら回避策を仕込む?

マオ
なんだかんだ最高神パワーで粘る?

ナギ
最後に契約書の小さい文字で勝つ?
リョウタが首を横に振る。

リョウタ
フェンリルに倒される。最高神でも負ける。予言で知ってた負けが、ちゃんとそのまま来る。

カイト
準備して予定通り負けるの、勤勉すぎて怖いwww

マオ
負け確の会議に議事録まで作ってる感じするwww

リョウタ
そのあと息子ヴィーザルがフェンリルを倒して、父の仇を取る。ここは細かい絵で覚えなくていい。大事なのは、オーディンが倒れて、息子が後始末に行くこと。神話でも親の尻ぬぐいは発生する。

ナギ
家業が重すぎるwww

リョウタ
トールは大蛇ヨルムンガンドを倒す。でも相討ちで力尽きて死ぬ。勝ったのに生き残れない。ここも北欧っぽい。勝利の画面が出た瞬間、電源も落ちる。

カイト
勝ち判定と生存判定が別処理www

マオ
勝ったのに帰れないのブラックすぎる

リョウタ
ロキとヘイムダルも相討ち。終末を告げる見張り番と、混乱を持ち込むロキが最後にぶつかって、どっちも終わる。ロキの人生、牝馬から世界の敵まで走り切ってる。

マオ
経歴の振れ幅で酔うwwww

リョウタ
そしてスルト。炎の巨人が世界を焼く。ここで大事なのは、神々の戦いだけじゃなく、世界そのものが一回終わること。巨人一体から作られた世界が、最後は炎で閉じる。

ナギ
スケールが家の片付けじゃなくて世界の閉店作業

リョウタ
ここ、主人公補正がないのがすごい。オーディンも倒れる。トールも死ぬ。ロキもヘイムダルも終わる。神様だから最後に光って逆転、みたいなサービスがない。

カイト
神話なのに課金復活がないwww

リョウタ
でも逃げない。みんな持ち場に立つ。負けると分かってて出勤して、持ち場で役目を終える。ラグナロクは派手な終末だけど、根っこはめちゃくちゃ真面目な出勤物語なんよ。

マオ
神々、責任感で死ぬタイプじゃん

ナギ
休んでいい日を誰も教えてくれない世界www
焼けたあと、しれっと二周目

リョウタ
世界は焼けて、海に沈む。ここまで聞いたら完全終了だろ。

ナギ
終了でしょ

マオ
もう閉店の音楽流れてる

リョウタ
でも新しい大地が海から上がる。若い神々が残る。バルドルも戻る。リーヴとリーヴスラシルって人間二人が木のウロに隠れて生き延びて、人類が再スタートする。

カイト
全滅後に再起動するのかwww

リョウタ
そう。しかも木のウロ。最初の人間も木から作られる話があったけど、最後も木の中から次の人間が出てくる。北欧、木への信頼が厚い。

ナギ
木、採用率高いな

リョウタ
バルドルが戻るのも大きい。あの明るい神が、新しい世界に帰ってくる。前の世界で失ったものが、二周目で少し戻る。完全リセットじゃなくて、覚えたまま次へ行く感じ。

マオ
それはちょっといいな

リョウタ
新しい大地で、昔の黄金の板みたいなものを神々が見つける話もある。前の世界の遊び道具というか、思い出みたいなものが出てくる。焼けたあとにアルバムだけ残ってた感じ。

ナギ
急にしんみりするやつ

リョウタ
ラグナロクって、神々の運命とか黄昏って意味で語られるやつ。ワーグナーの神々の黄昏もそうだし、ゲームや映画のラグナロクの元ネタにもなる。終末なのに、元ネタ力が強すぎる。

カイト
名前だけでラスボス感あるもんな

リョウタ
飲み会で覚えるなら、こう。負け確定でも出勤。爪は切っとけ。ロキは牝馬から敵側代表へ。神々は全員フル出勤で全滅。でも世界は二周目に入る。

マオ
ロキの紹介だけずっとおかしいwwww

ナギ
爪切ってから寝るわwww

リョウタ
で、ここが好きなんだけど、全部終わったフリして、しれっと次が始まる。北欧神話、暗いのに最後は妙にしぶとい。死んでも二周目出勤。休ませる気がない。

カイト
死んでも出勤の概念が消えないの理不尽すぎるwww

リョウタ
だからラグナロクは、ただの全滅話じゃない。負けると知ってる神々が持ち場に立って、世界が一回閉じて、それでも木の中に次が残る話。最悪の終末なのに、最後にちょっとだけ朝が来る。
よくある質問
- Q. ラグナロクとは何?
- A. 北欧神話の終末だ。神々、巨人、怪物が戦い、多くの神が死に、世界が焼けて沈む。そのあと新しい大地が上がり、次の世界が始まる。
- Q. フィンブルの冬って何?
- A. ラグナロクの前兆として語られる、夏の来ない厳しい冬だ。寒さ、飢え、治安の悪化で世界が先に崩れていく。
- Q. オーディンとトールは死ぬ?
- A. 死ぬ。オーディンはフェンリルに倒され、トールは大蛇ヨルムンガンドを倒すが相討ちで力尽きる。
- Q. ラグナロクの後は何がある?
- A. 世界は焼けて沈むが、新しい大地が現れる。バルドルが戻り、リーヴとリーヴスラシルという人間が木のウロから生き延びて人類が再スタートする。
次に読む
もし現代でやったらコンプライアンス違反疑惑度★★★★★
終末戦争なので書類が燃える
- 刑法199条人を殺した者に科される罪の規定(殺人)。
- 刑法204条人の身体を傷害した者を処罰する規定(傷害)。
- 刑法205条人の身体を傷害し、その結果死亡させた行為に関する規定(傷害致死)。
- 刑法260条
- 刑法261条他人の物を損壊し、または傷つける行為に関する規定(器物損壊)。
- ジュネーブ諸条約武力紛争において傷病者・捕虜・文民などの保護を定める国際条約。
元になった物語の出来事に、現代日本の実在する法令を当てはめたらどの条文に触れうるか、という読み物としての見立てです。条文番号だけを並べています。
腕試し(オリジナル問題)
過去問の丸写しではなく、この記事のために作った自作の練習問題です。腕試しにどうぞ。
問1ラグナロクを「ただの世界滅亡」と説明すると足りない理由を述べよ。